楽器(歌)のアドリブ習得、3つの認識と5つの意識の持ち方解説

音楽にはアドリブというものがあります。

歌や楽器で、決められた音を出すだけではなく時には自由に演奏するスタイルです。

表現したいものや、ふと浮かんだアイデアを音として形にする行為とも言えます。

音楽レッスンを受けている方でも、「アドリブが出来るようになりたい」という想いを抱いている方を見受けますが、”何から始めればいいのか”、”どう練習したらいいのか”、と立ち止まるのは初心者だけではありません。

このページではアドリブの理解と習得の練習方法を述べていきます。


・アドリブとはどういったものか

簡単ではありませんが、以下の3つの観点から把握してみると良いでしょう。

1.アドリブを行う場面

一言にアドリブといっても様々な状況があります。

  • 間奏やソロでボーカルの代わりに楽器を歌わせる
  • メインボーカルに対してオブリガートを入れる
  • おおまかなコード進行に沿って伴奏を担う
  • テーマを決めてセッションする
  • 鳴っている響きをより複雑化させる

などです。

つまりメロディーを弾くのも伴奏を弾く(歌う)のもあえて何も弾かないのもアドリブです。

また演奏方法や音色に指定が無い場合に、”音に表情を付ける”のもアドリブと言えます。

2.何を表現したいのかが重要

どの状況でも”表現したいものが明確化されているかどうか”は非常に大事です。

セッションでのアドリブは特に”会話”に例えられ、相手の表現したい事を受け取りそれに答えるというイメージです。

間奏ソロなら曲の雰囲気を壊さないように配慮した方が聴く人は安心感が得られます。

何も弾かない方が良いと判断するならそれもまた表現です。

アドリブイメージ画像

3.自由ではあるけれど制約は必要

もしピアノの鍵盤をランダムに押さえればそれなりに聴こえる瞬間もあります。

しかし弾いている本人ですら意図していない不協和音の連続や不正確なリズムは、聴いている人にとっては”心に届かない音”になる可能性が大です。

滅茶苦茶に音を撒き散らして「混沌を表現したアドリブだ」と言われても、良い演奏と感じるのは難しいのです。

・アドリブ習得のために意識しておく事柄5つ

音、特に音楽の中で表現したいものがあった時にアドリブを行いますが、例え”欲しい音”が無くても基礎的な練習を積んでおくのは有効です。

1.確かな技術の積み重ね

表現したくても技術が無ければ形になりません。

既存の楽曲を練習した数だけ演奏テクニックも備わってきますので、”ミストーンを減らししっかり発音する”のが当たり前になるぐらい体に染み付くまで練習しましょう。

2.音の引き出し(ストック)を増やして分析

これも既存の楽曲が参考になります。

ソロや歌メロ、伴奏パターンや音作り、全てが”表現の為の素材”となります。

同じフレーズでも違うコードの中で弾いた場合の響き方がどうなるのか、オクターブを変えるとどう聴こえるのか、音色(演奏方法)の違いでどう感じるのか、を試した数だけ引き出しは増えていきます。

3.反射神経も養う

アドリブを行う時に”何かのきっかけ”が曲の中にあったりします。

他の人が弾いたメロディー、楽曲全体のコード感、不意に出してしまったノイズやミストーン、などがきっかけとなります。

それを追うように模倣したり変奏したりするのも立派なアドリブです。

演奏しながらも周りの音に耳を傾けて、反射的に”音(歌)”で返すのを練習します。

いきなりは難しいのでスケールや使う音程数を限定して行えば良いでしょう。

4.音感トレーニング

「表現したいものが曖昧なのにソロを弾かなければならない」というような状況の時は、無理にフレーズを弾こうとせずにコードトーンを狙うようにしておけば無難です。

伴奏も「とりあえずコードやベースを一発伸ばすだけ」でも良いです。

楽曲の流れを追うためには最低限の音感が必要です。

普段から耳コピに慣れておけば”違和感の無い響き”はわかってくるでしょう。

5.リアルタイムな作曲とストックの応用

アドリブ演奏時は、

  1. 過去に弾いた事のある手癖フレーズの再現を行うか組み合わせを行う
  2. 一度も弾いた事が無いけれど頭で明確に想い描ける音使いをする
  3. 意図した音と違った音か、とりあえず鳴らしてみた音から出したい音を探る

があります。

b.は音感を鍛えてからでないと不可能なので基本的にはa.のパターンで弾いている事になります。

c.は先の”きっかけと反射神経”の応用になります。

b.が出来るようになれれば技術的にはとても高いレベルにあると言えます。

以上の5項目を意識して練習に取り組めばアドリブ力も養われていきますが、1つ1つが簡単ではありません。

やはり一番のコツは”歌や楽器演奏を楽しむ事”なのかもしれません。

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