そのアレンジの一つにアルペジオがあります。
テンションノートを盛り込むスタイルになると、スケールやモードの響きを考慮しなければなりません。
しかし書かれているコードネームのコードトーンをそのまま並べれば、純粋なアルペジオアレンジとなります。
アルペジオの良い点は、適当な順番で音階を弾いても違和感なく聴けるのと、少し意識するだけで簡単にバリエーションが増やせる点です。
このページではCM7コードだけでの短いアルペジオパターン例をいくつか紹介するのと同時に、アイデアの広げ方を解説します。
・CM7コードのアルペジオ12例
・例1
これは音階を順に並べたパターンです。最もオーソドックスでどの楽器でも最低限マスターしておきたいアルペジオです。
楽器によっては更に高い音域まで繋げる事も可能です。
この例は上昇パターンですが、下降するパターンもマスターしておけばコード練習やスケール練習にも役立ちます。
・例2
返し縫のように規則的に上昇していくパターンです。メロディーラインにもよく使われる動き方です。
アルペジオの場合は音域の広さが目立つので非常に躍動的な響きに聴こえます。
楽器によっては高度な演奏技術が必要ですが、単純な上昇下降に混ぜればバリエーションは無限大です。
・例3
ルート音を先に弾いてから下降するパターンです。
コードチェンジが無ければ順番に弾くのとそこまで差はありませんが、コードチェンジした時のルート音を明確にしたい時に効果的な弾き方です。
アレンジに慣れてくれば、より滑らかなベースラインを意識した順番で弾く事も出来ます。
・例4
低音と高音を先に鳴らして間を埋めたパターンです。
この譜例ではあまり効果的に見えませんが、より広い音域で行えばメロディーラインとベースラインが際立って見えてくる演奏方法です。
同じコードでも一番高い音(一番目立つ音)によって聴こえ方に差異を付ける事が出来ます。
・例5
半端な位置から弾き出したパターンです。
譜例では反復していますが、反復せずによりランダムに弾いても構いません。
出だしの音階によってコード感を曖昧にさせたい場合にも有効的です。
また一切ルート音を弾かないというアレンジも、音楽的に複雑化できるでしょう。
・例6
コードトーンを一気に弾ききらずに、小分けにして全体の響きを作るパターンです。
細かいコードチェンジ時にも使われますが、必ずしも全てのコードトーンをなぞる必要はありません。
これも譜例ではわかりにくいですが、ルート音が変化すればより効果的です。
リズムの変化はおまけです。
・例7
こちらも規則的に上昇していくパターンですが、より滑らかなスタイルです。
こうなってくるとアルペジオというよりはメロディーのように機能してきます。
楽器で出せるだけの音域を使えば、とても壮大な曲に聴こえます。
・例8
ペダルノート(持続音)を強調したパターンです。
この譜例ではルート音が繰り返されていますが、より目立たせたい音があればそれを持続させれば良いです。
これもコード全体の広がり感を持たせやすい弾き方の一つです。
・例9
和音の組み合わせを取り入れたアルペジオです。
遅いテンポで弾くとただコードチェンジしているように聴こえてしまう場合もあります。
響きを途切れささずに連打すれば省略コード同士が組み合わさり、一つのコード感を生み出します。
また和音で発音すれば単音時よりもより力強いサウンドになります。
・例10
組み合わさっている和音を揃えている弾き方です。
この場合はCのパワーコードという響きに他の音が入り込んでいるイメージになります。
和音部分の音に全体が引っ張られるような印象に聴こえます。
・例11
こちらは逆に和音の組み合わせが変化しているパターンです。
こうなるとベースのリズムが強調されたような響きになります。
高い方の音階をリズミカルに刻みながら低い音でアルペジオを行うのもよく見られます。
・例12
トリルを意識したアルペジオです。
上の2音を繰り返しながら下の音を動かしています。
トリル音だけでもコード感は出来上がりますが、より明確化させる事ができます。
もちろん上下の役割を変えても構いません。
・リズムの組み合わせも自由
先の例では基本的に同じリズムの繰り返しのみの例です。
実際のアレンジでは短い音や長い音を組み合わせたり、同じ音を連打したり、と更にバリエーションを広げる事ができます。
どんなパターンでも弾きこなせる(すぐに作れる)に越した事はありませんが、何か一つだけでも得意パターンや好きなパターンがあれば極めるのも個性となるでしょう。