AUXを使ったエフェクトの設定方法2パターンとその違いを解説

ミキサー(音源の音量調整などを行う機材)の機能の一つにAUXというものがあります。英語のauxiliaryの略で、オグジェアリィーとかオグジュアリーという風に発音します。

意味は”補助の””予備の”といった形容詞ですが、音楽制作の時は”エフェクト音を別に送る”といった使い方がよくされます。

このページではエフェクト音量を先に決めるか、後に決めるか、の違いと活用方法を説明します。


・AUXを経由するとは

ミキサーには”チャンネル”だとか”トラック”という名前で音源の通り道が定められています。

チャンネル1はボーカルで、チャンネル2はベース、チャンネル3にドラム、といった具合に編集のしやすいように音の入出力場所を分けます。

例えばチャンネル1とチャンネル2を使って、ボーカルとリバーブ(残響効果を作るエフェクター)として設定します。

この時チャンネル1のボーカルはメインアウトという最終出口から音が鳴ります。そしてチャンネル1のAUXの出力を上げればチャンネル2に入力されます。

それに伴いチャンネル2からは、リバーブ音が出力されてメインアウトに向かう事になります。

AUX設定例

・単純な設定なら分岐しなくても同じ

ボーカル音もリバーブ音も後から音量バランスを設定しなおしたりしなければ、チャンネル1だけでも十分です。

しかし実際はリバーブ音だけ音量を上げ下げしたり、パン(音の出る方向)を調整したり、新たに違うエフェクトをかけたり、といった編集も行う時があります。

その時はチャンネルがわかれている方が操作しやすく都合が良いというわけです。

・AUXの出力量とエフェクトチャンネルの出力量

ボーカルとリバーブのチャンネルを設定してもそのままではリバーブ音は出ません。

AUXのセンドレベル(英語でsend level、送る量の意味)を調整する必要があります。

この時に、”AUXを上げておき、チャンネルで調整”するやり方か、”チャンネルを上げておき、AUXで調整”するやり方を選びます。

・AUXを上げた場合

AUXの出力量を固定した場合は、チャンネルの音量を上げればエフェクトが多くかかり、下げればエフェクトが減っていきます。

ミキサーはアナログでもデジタルでも、そしてソフトウェア上でも基本的にはチャンネルフェーダーというツマミで音量調整します。

なのでパッと見た時に、全体の音量設定がわかりやすいので、エフェクト音量も当然すぐにわかるというメリットがあります。

AUXを上げた例

・チャンネルを上げた場合

逆にエフェクト音をAUXでその都度調整するやり方でも効果は同じです。

ただしたいていのミキサーではAUX量はパッと見にくいツマミになっています。(実物では回転式が多く、ソフトではウィンドウが隠れていたりする。)

メリットとしては、設定を誤って変えてしまうリスクが減る事です。

エフェクト音のバランスを取るのは神経を使う作業なので、なるべく一度決めた音量から変えたくない時はこちら側を選ぶと良いでしょう。チャンネルレベルを上げた例

・音割れとノイズに注意する

どちらの場合もそれぞれ注意するのは”音割れ”と”ノイズ”です。

前者のパターンでは、チャンネル音量が0なら音は出ません。しかしAUXに”入力した時点”で音割れが生じてしまう事があります。

そうするとチャンネルを少しあげただけでも、”音割れした音”がそのまま出力されてしまいます。

音割れしないギリギリのところにAUXを設定すればいいというわけです。

後者のパターンでは、”内部ノイズ”が聴こえてしまう場合があります。

古い製品などでは音源を入力していなくても、ただフェーダーを上げただけでノイズが混ざる事があります。

この場合、”必要の無い音量にならない音量で留めておく位置”でフェーダーを固定する事になります。

・オススメは前者の方法

以前は私自身は後者の方法を使って設定していた時期がありました。特に理由も無く行っていましたが、後者に切り替えた方が後々の編集が楽です。

特に”曲の中でエフェクト音を変える効果”を使う時は設定が見やすく操作しやすいです。

とはいえ”どういう状態か”がわかればそれでいいので、やりやすいと思った方法を是非試すと良いです。

他にもエフェクターの設定を直接いじる方法もありますが、操作しづらいのであまりオススメしません。