しかし低い音域のフレーズ(主にベース)を聴き取るのは、慣れないと中音域や高音域に比べて難しいです。
このページでは”低域の耳コピ”を簡単にする為の音声加工の方法を説明します。
・音程が聴こえにくい音
低域とはおおよそ100Hz付近から250Hz付近の音域です。
アンサンブルでベースやバスと言ったパートの楽器が主に担う音域です。
その中でも”聴こえやすい音”と”聴こえにくい音”に分かれます。おおまかに、
- 音量のバランス
- 倍音の量(音色)
- 発音の明瞭さ
- 歪みの量
の違いで”音程が聴き取れるか否か”が変わってきます。特に2の項目が差を付ける要因になります。
言い方を変えれば、どんな音色でも音が小さければ他の楽器に掻き消されてしまいますし、発音が曖昧だと半音よりも細かい音程が生じやすいです。
そして音が歪んでいると、不要な倍音が混ざりすぎ不明瞭な原因になります。
なので加工して特に有効なのは”音が低すぎて倍音も少なくて音程が取りにくい”場合の音源です。
とは言えしっかり”基音が入っている音源”なら倍音が多くても対応できます。
1.イコライザーでフィルター
簡単で単純な方法ですが、イコライザーを使って不要な音域をカットすれば聴きたいフレーズに集中できます。
特に低音パートの楽器は、高域を大胆に無くしても基音が残りやすいです。
高域だけではなく、60Hz以下の超低域も削ってみるとスッキリとした音になります。
この辺りの音域は音程とは直接関係が無い共振やノイズが混ざっている事も多く、”聴き疲れ”を起こしやすい原因にもなります。
ヘッドホンやスピーカーの違いで感じ方は大きく変わるので、”ある程度スッキリした状態”まで削ってしまいましょう。
2.ブーストする
イコライザーは狙った音域を削るだけでなく、増す事もできます。
しかし他のエフェクトを使えば、”基音以外の倍音”も付加して輪郭を見え易くしてくれる効果がある場合があります。
エンハンサーやエキサイターと呼ばれるようなエフェクトを使ってみると、聴き取りやすくなる音源もあるのでイコライザーと併用してしまいましょう。
逆に、エフェクトを使って音がぼやけてしまうのなら使わなくて構いません。
3.ピッチシフト
そして最も効果的な加工がピッチシフターを使って”音程を1~2オクターブ上げる”方法です。
何オクターブ上げるかは”自分が歌いやすい音域”を目安にしてみましょう。
周波数的には400~800Hz程度の高さに低音フレーズが鳴るようにようにします。
ピッチシフトを行うと余計なノイズが混じってしまったり、曲の速度そのものがずれてしまう場合もありますが気にする程ではありません。
以下の画像は実際にイコライザーとエンハンサーとピッチシフターを使った時のエフェクトです。

ピッチシフトは”先にかけるか後にかけるか”で聴こえ方が変わりますので、音源によって聴き取りやすい方法を選びましょう。
・目安は自分が歌いやすい音域
オクターブ調整時にも触れましたが、どんな音色でも耳コピしやすいのは自分の声に近い音域です。
小声でも良いので実際に”声に出してなぞれるフレーズ”ならしっかり聴き取れているという事です。
逆に口でも追えないようなフレーズは音が曖昧か、速すぎるかのどちらかです。
耳コピは時間をかければ聴こえなかったフレーズも聴こえてくるようになるので、何度も繰り返し試してみましょう。