知識が全く無くても、音を鳴らしてみて違和感が無くカッコよければそれで十分かもしれません。
しかし自分が弾いた音、新しく加えた音が”正しいのかどうか”という不安を持ってしまうのは耳に自信が無いからです。
生まれつきの音感があるわけでなく、特別な音楽教育を受けていなくても、知識と音とを照らし合わせていくという方法で感覚は養われていきます。
・コードとは
コード(和音)とは二つ以上の音程が同時に鳴った時の響きです。同じ音程が鳴った場合、例えばドとドを鳴らしてもコードと呼んでいいわけです。
同じように、ドとミを鳴らしてもコードですし、ドレミファソラシの七つを同時に鳴らしてももちろんコードです。
・コードの澄み具合
協和音と不協和音という言葉があります。これはコードの響きが澄んだ状態か濁った状態かを表しています。
耳で聴いて心地良ければ協和音というように、感覚を頼りにしても構いません。しかし感覚だけではわからないという場合は音程の組み合わせを丸暗記してしまいましょう。
※組み合わせパターンは違うページに載せます
音程の名前や距離の名前(=度数)を覚えていないとすんなりと入ってこない内容ですが、だんだんと響きの特徴が見えてくれば言葉で無理に覚えなくても良いのです。
・コードには規則的に名付けされている
ドとレを組み合わせた和音には名前は付いていません。”ドとレの和音”と言うか”2度の和音”と言った表現ぐらいしかありません。
ドミソを組み合わせた場合には”C”や”Cコード”、”Cメジャーコード”という名前が付いています。
レファラドを組み合わせれば”Dm7(Dマイナーセブンス)”という名前で呼べます。
この規則も一度覚えれば、コード名(コードネーム)から組み合わさっている音程がわかります。
逆に和音を鳴らした時に、何のコードと呼べるかがわかるようになります。名前と響きを一致させれば耳コピ(聴音)もやり易くなります。
・コードネームの情報量は少ない
コードの響きに特徴がある物には名付けのルールが適用できます。
しかし”Cメジャーコード”という名前だけではわからない事があります。
- 具体的な音程の組み合わせ(ドミソ、ドソミ、ドミソミドは全てC)
- 具体的な楽器の組み合わせ(ピアノがドソ、歌がミでもC)
- 鳴っていない音の補完(実際に鳴っている音はドだけでもCの場合がある)
- 細かい動きを端折っている(メロディーが素早くドレミファミレドと順に弾いてもCの場合がある)
つまり楽譜で書いているコードネームを見ても、実際に演奏されている音はわからないのです。
コードネームは具体的な音程の組み合わせを指している時もあれば、全体的な音の響きの”雰囲気”を指している場合もあります。
その雰囲気を”コード感”なんて呼んだりもします。コード感を保てば違うアレンジにしても同じ曲に聴こえるというわけです。

コードの配置例 全てCメジャーコード
・調性(キー)について
”キー”という言葉は非常に厄介です。音楽全体の響きの高さを表す場合もあれば、具体的な音を指して使う事もあります。
この項目では”調性”という意味で使っていきます。
調性とは、曲全体、または一部のフレーズやコード進行の響きから出来上がった”雰囲気”です。
単純な曲なら、明るい雰囲気だからメジャーキー、暗い雰囲気だからマイナーキー、といった具合に分類させ易いです。
しかし明るいと一言で言い表せない響きも多くあります。それらもパターンによって名付けされています。
具体的に使われている音階やコード進行の順序によって、調性は決まります。
・キーを意識する時
例えば、キー=Dでセッションする、という場面になったとします。
この時、真っ先にDメジャーコードで伴奏を取り、音階はレ ミ ファ♯ ソ ラ シ ド♯を使ったメロディーならDメジャーキーの雰囲気になります。
しかし他のコードや音階を弾く時に、DマイナーやDミクソリディアン、といった違う雰囲気を連想させる音を使って弾いてもキー=Dのセッションと言えます。
アレンジやアドリブの時に、欲しい雰囲気、心地良い音の引き出しが多いか少ないかの違いでしかありません。
・パターンを覚えれば
コード感にしても調性にしても、知識を取り入れれば何でも出来るわけではありません。
しかしパターンを覚えていれば、演奏や作曲の方向性を決める一つの要素として使え、また多くの人にとって違和感の少ないものを生み出し易くなります。
耳を頼りにしきれない時は、理屈で考えてみるのも音楽の楽しみ方の一つです。