作曲はメロディー作りから始める

作曲の下準備で曲の長さや雰囲気、構成を決められたらメロディーを考えていくと良いでしょう。いきなりコード進行から作るパターンも多いですが、それは雰囲気作りを重点したい場合です。

1.まずは制約を付けてみる

いきなり自由にメロディーを考えると言っても、何をどうやっていいかわからない人は制約を付ければいいのです。制約も思いつかなかったら次の順序で試してみましょう。。

  1. まずはひたすらCコードだけを鳴らす
  2. 使うリズムパターンは4分音符だけ
  3. 使う音階はドレミの三つだけ
  4. 4/4拍子で2小節だけの短いメロディーから作る

この条件だけでメロディーを組み立ててみます。音の響きもリズムも緊張感の無い退屈な音楽ですが、れっきとしたメロディーの出来上がりです。

同じ音を連続して使った響きや、交互に繰り返した時の響き、レはCのコードに入っていない音階なので調和感が少しだけ弱くなる、等を感覚として耳に刻んでいきます。

メロディー作曲例

2.制約を広げ複雑化

先の制約の中だと10パターンも作った時にはアイデアが枯渇してくるので、少しずつ制約を増やしていきます。

  1. 4分休符をどこかに一つだけ入れる
  2. 一カ所8分音符も使う

この二つの制約を付けただけでも、メロディーパターンの数は膨大になります。自分が聴いて違和感が無い物を5パターン程作れれば上出来です。心地いいと思えるものがあればなお良いです。

もちろんもっと複雑化させたければ8分の数を増やしたり休符の数を増やせばいいわけです。

メロディー作曲例

3.使う音階を増やす、減らす

流石にCのコードに対してドレミの三つだけだと面白くなくなってくるでしょう。(最初の段階でも面白くないとは思います。)

  1. 使う音階をミファソだけでメロディーを作る、さっきの制約はリセットしてもいいし組み合わせてもいい
  2. 1小節目はドレミのメロディーパターン、2小節目はミファソのメロディーパターンで作る、逆でも作る
  3. 2小節ともドレミファソの五つの音階を使って作る
  4. ファを省いてドレミソの四つだけで作る

最初は使う音程を五つまでに留めておいた方がいいです。音の進み方による聴こえ方をしっかり耳に焼き付けましょう。後は使う音階を増やしたり減らしたりすれば、音程の組み合わせはほぼ無限です。

メロディー作曲例

4.リズム面も複雑化させていく

4分と8分の組み合わせばかりだとどれも同じように聴こえてしまいがちです。いきなりリズムを複雑化させるのは難しいので順序を追いましょう。

  1. 使う音階はドレミの三つに戻してしまう
  2. 休符は使わずに2分音符、4分音符、8分音符、16分音符を使う
  3. まだシンコペーションは使わない(つまり付点やタイは使わない)

この制約の中で作ってみましょう。長い音と短い音が何の音階かによって調和感の強さが大きく変わります。

飽きたら休符を混ぜればいいのですが、楽器が上手い人ならこれだけで30秒近いアドリブも飽きずに聴かせられる程になります。

メロディー作曲例

5.更に複雑なリズムを作る

シンコペーションの無いリズムはアクセントが同じように聴こえるので、わかりやすいけれど刺激は少ないです。

  1. さっきの制約に一回だけタイか付点リズムを含める(既に作ったリズムにタイを付けるだけでもいい)
  2. 付点リズムを連続してみる(付点8分の次も付点8分等)
  3. 3連符や2拍3連も混ぜていく

2小節だけでは短すぎると感じるかもしれません。慣れてくれば4小節で1パターンにしても良いですし、3/4拍子で作ってみるのも良いでしょう。

メロディー作曲例

6.伴奏の和音を変える

ここまではずっとCコードの中だけでのメロディー作りでした。雰囲気があまり変化が無いのでコードチェンジも入れていきましょう。

  1. 音階はドレミの三つのまま
  2. 1小節目はC、2小節目はGの伴奏にする
  3. 他の和音を使いたい時はダイアトニックコードを選ぶ

この三つの条件でも出てくるコードが増えるので、メロディーとコードの組み合わさり方も聴きなれないといけません。同じメロディーを反復してもコードが変われば聴こえ方は変わります。

メロディー作曲例

 7.変化音を混ぜていく

いきなり変化音(♯や♭)を扱うのは難しいかもしれませんが、とりあえず不協和音になってもいいので無理矢理使ってみれば、メロディーの幅は一気に増えます。

  1. 変化音を使った時は次の音は必ず半音で上がるか下がる
  2. 変化音は4分より長い音は使わない
  3. コードはまだ二つ程度に限定しておく

例えばCのコードが鳴っているのにも関わらず、変化音を加えると調性感が曖昧に聴こえる場面も増えるでしょう。慣れてくればコード数も増やし、変化音から変化音と繋ぐパターンも増やしてみるといいです。

またテンポや楽器の音色を変えるだけでも違った雰囲気になります。楽器の演奏テクニックや歌い方一つでも聴こえ方が変わってくる事も忘れないでおきましょう。

メロディー作曲例

・ここまで出来ればアイデアは膨大

メロディー作りに重点を置いて制約の付け方の例を示しましたが、最終的にはほぼ自由になっています。

まだ調性の知識や作曲技法と呼ばれる理論を学んでいなくても、何となく聴いた事のあるメロディーになったパターンもあるでしょう。

コード進行はそこまで考えていないので雰囲気はあまり変わらないかもしれませんが、逆に言えば同じコード進行内でもいくらでもメロディーは作れてしまうわけです。

・メロディーには著作権がある

メロディー作りで最も難しいのは”著作権に引っかからない”事です。どうしても心地いい響きや流れは誰かが既に作ってしまっている可能性が高いです。

コード進行はいくらでも真似しても問題ありませんが、メロディーには著作権があるので似すぎてしまってはいけないのです。どこまでが似ているかの基準が曖昧なのも難しい所以です。

自信作が出来上がった時は是非人に聴かせましょう。技術的にも著作権的にも良い部分と悪い部分を知るのも、次のアイデアの参考になります。