バロック時代前後に盛んだったポリフォニー音楽を作るには欠かせない理論ですが、現代のポップスのようなホモフォニー音楽を作る時も十分応用が効く理論です。
対位法を一言で表すのは難しいですが、どういった理論なのか、どういう風に役立っているか、を3つの視点から簡単にご説明します。
本来は対位法を習得する為には膨大な譜例から規則を消化していかなければなりません。
しかし概要だけでも把握しておけば、学ぶ時も”何をやっているのか”理解に苦しまなくなるでしょう。
1.美しいメロディーが必要不可欠
ポリフォニー音楽は”複数のメロディーが独自性を持つ”という特徴があります。
つまり最低限1つ以上のメロディーが必要となってきます。
対位法では”違和感の無い音階の進み方やリズムの取り方”を学ぶところからスタートします。
つまり”歌いやすい音の動き”と”聴き心地のいいフレーズ”を知る事になります。
2.協和音と不協和音のバランス
二つ以上の音程が同時に鳴れば和音が生まれます。
対位法では”和音の響きを常に意識しながら”メロディーとメロディーの重ね方を学びます。
基本的には”協和音と不協和音”をしっかり覚え、安定と不安定の状態をバランスよく配置します。
対位法を知らなくても、メロディーに合ったコード進行を作ってみれば自然な流れになり易いですが、より厳密に規則が設定されています。
その規則は学び進めていくうちに緩和されていくのも対位法の特徴です。
ここを学べば編曲でオブリガート(=対旋律=カウンターメロディー)を入れたりコード進行を考える時にも大いに役立ちます。
3.反復の仕方
多くの音楽には”反復”が含まれています。
同じメロディーを何度も歌ったり、メロディーの一部分を変えたり、違うキーでも繰り返したり、別のコードをあてたりと、反復は至るところにあります。
対位法では反復時の変奏パターンを学ぶことになります。
全く同じメロディーを使い反復を重ねて行けば”カノン”に、より自由度の高い変奏を含めれば”フーガ”という形式の曲が出来上がります。
つまり既存のフーガを分析すれば対位法の大部分を学べるという事です。
フーガを作曲出来る程になれば、対位法はほぼ身についていると考えて構いません。
・対位法の応用
ポリフォニー音楽はどうしても構造上”覚えにくい”印象にあるので、現代の歌モノはホモフォニー音楽が圧倒的に多いです。
しかしメロディーに対してのベースラインや間奏ソロ、同じメロディーに対しての違うコード進行選びやハモリパートの追加などは、対位法的な視点で行えば容易に出来たりします。
もちろん音数が増える程に”妥協”せざるを得なくなってきますが、協和音へと自然に繋げられるようになります。
学問として音楽を学ぶ人にとっては必須の対位法ですが、趣味で作曲を行う時にも大いに役立つので興味が出れば対位法を勉強してみると新しい世界に出会えるでしょう。