しかし音楽理論は”音”という目に見えない動きを扱うので難しく感じる人が後を絶ちません。もちろん理論の専門用語を覚える必要はありませんが、音に対するイメージを作って覚えておく事は大事です。
・理論は魔法の道具ではない
作曲が出来るようになりたい、アドリブが弾けるようになりたい、そういう理由でレッスンを受けに来る人も多いです。
理論を覚えればそれらが出来るようになると思っているようですが、残念ながら理論はただの言語化です。そこに新しい”音”の発見はありません。せいぜいヒントになるぐらいです。
しかし理論を覚えればパターンのストックが増えます。自分の好きなフレーズや表現したい雰囲気のパターンをすぐに見つけて持ってこられるようになれば、作曲やアドリブで応用が利くというわけです。
1.音の距離を知る
理論を学ぼうと思った時にいきなりスケールやコード進行を丸覚えするのは半分正解で半分間違っています。
膨大なパターンを丸覚えして後から比較して具体的に認識していくのも、覚えるのが苦手で考え方だけを知り応用させていき最終的に既存の理論に結びつけるのも、結果は同じです。
自分にとってどちらが楽か、身に付いている実感が湧くかの違いでしかありません。
- 音には高さがある
- 音の高さには名前が付けられている
- 前後の音の高さの離れ具合にも名前が付けられている
まずこの三つだけ知っておきましょう。音は目に見えないので名前を通じて意思疎通したり説明したりします。これらの名前を覚える事が理論の第一歩へと繋がっていきます。
2.音には調和感がある
私たちが普段聞いている音楽のそのほとんどは、聴いていて不快にならないように配慮されています。好きか嫌いかは個人の好みですが、不快な音や流れというのは存在します。それは音が持つ性質によるものです。
- 複数の音を組み合わせた響きを覚える
- 前後の流れも響きが連想される
音楽用語を使えば協和音、不協和音というものです。表現を変えると”音が澄んでいるか濁っているか”という違いがあるという事です。
この澄み具合にもパターンがいくつかあります。理論は”意図した調和感をコントロールするための知識”という程度のものなのです。
3.音と速度の関係
音にはたくさんの種類の”速度”があります。楽器によって発音が速い音、遅い音、長く伸びる音、すぐに消える音、といった具合です。
同じ曲でも速度を変えて聴けば違った印象に感じることでしょう。同じフレーズでも速く弾くのと遅く弾くのとで表現が変わりますし、調和している時間も変わります。
・土台は3つの要素
まず理論で覚えておけばいいのは上記の、距離と調和感と速度という三つの要素で音楽が作られているという事です。
楽典と呼ばれる理論の入門編のような本ではメロディーとハーモニーとリズムの3要素という説明がされています。しかしメロディーという言葉の中にはすでにハーモニーもリズムも含まれているようなものです。
楽器の組み合わせや人の声質によっても音楽の形は変化しますが、この3要素さえ押さえておけばいくらでも応用が利けると覚えておけばよいでしょう。