曲先での作詞、考え方のコツ3つ

歌無しの曲はインストルメンタルというジャンルとして扱われますが、その多くは”場”を作る為のBGM(バックグラウンドミュージック)として聴く事になります。

もちろん歌が入っていてもBGMとして使われる場面は多くありますが、やはり”何かを伝える”という目的の一つとなっています。

歌モノ(歌が中心の音楽)では”伝えたい事”を歌詞にしますが、やり方に違いがあります。

  • 詞にメロディーを付けるパターン
  • 曲が先にあってそこに詞をあてていくパターン
  • 詞には意味が無く、音の響きの良さで言葉を付けるパターン

これらを完全に切り離して曲を作る場合もあれば、言葉とメロディーが同時に沸き起こってくる瞬間もあります。

このページでは既に曲やメロディーが出来上がっている状態で、詞をあてていく時(=曲先)のコツを述べていきます。


1.全体の方向性を決める

歌を作りたい時や出来上がっている曲を聴いた時、何か漠然と表現したい事があるはずなのでそこを明確にしておきましょう。

特に、”叙事詩か抒情詩か”は全体の文体を決める大きな目安となります。

・叙事詩とは

叙事詩というのは物語の事です。

実際にあった出来事、伝承やおとぎ話、空想上の未来の出来事、がわかりやすい題材です。

ただひたすらある人物や物について語るのも叙事詩の特徴です。

叙事詩イメージ画像

・抒情詩とは

抒情詩というのは感情です。

伝えたい自分の気持ちや人の気持ちを言葉に置き換えたものです。

物語に対しての感想なども抒情詩に含まれます。

2.キーワードを連想していく

歌詞の中で特に大事な単語は、曲が盛り上がる場面で使われればより効果的に印象が残ります。

その多くは曲のタイトルですが、あえてタイトルを歌わない曲でも”象徴するキーワード”がある方が良いです。

単語でも短い文章でもいいので、表現したい事を表してくれる言葉を探し当てられたら作詞の8割は完成したような物です。

後はその言葉に連想する単語や文を集めます。

特に”韻を踏んでいる”言葉があればなお良いです。

3.言葉数を計算する

メロディーが出来上がっている前提なら、発音する音数も出来上がっています。

基本的に日本語では1音に対して1語をあてるのが馴染みます。

どうしても言葉数の帳尻を合わせるのが難しい場合は、

  • 長い音符を細かくわける
  • 装飾音符を入れる
  • 意味を持たない感嘆文(嗚呼など)を入れる
  • 一語でフレーズを繋ぐ

という方法を用いますが、音楽的に長い音符は”大事な音”なので細かく区切りすぎないように気を付けましょう。

英語の歌詞を付ける場合は1音に対して1単語も多いですが、theやitなどのような単語は端折って歌っている事も多いです。

・いい言葉が見つからない時は

作詞が普通の作文と違う点は、

  • 文字数の制約が大きい
  • 歌いやすさで言葉を選ぶ場面も多い
  • 同じ単語を何度も使っていい
  • 接続詞は少なめ

という傾向にあります。

普段から小説やニュース等で文章に触れている人なら語彙は多いので、しっくりくる言葉は見つかりやすいでしょう。

しかし詞としての良さを求めるなら、俳句や短歌のような”言葉そのものに抑揚を持つ詩”が参考になります。

また辞書を引いてしまうのも”違う表現方法の発見”に繋がります。

他人の歌詞を参考にするのも一つの手ですが、”似通ってしまう”というリスクは避けて通れません。

勝手に似てしまったのならそれは仕方の無い事だと割り切れますが、参考にしてしまった時点で気負いしてしまい自信が持てなくなるものです。

しかし音楽と言葉は切っても切れない縁です。

良いメロディーに限りがあるように良い歌詞も限りがあるものだと開き直るのも創作には必要です。