ギターアンプのワット数の意味

ギターアンプには電気信号の増幅に真空管(チューブ)を使った”バルブステート”とトランジスタを使った”ソリッドステート”が主にあります。”チューブアンプ”や”トランジスタアンプ”とも呼びます。

両者の違いは中身の部分ですが形状の違いもあります。”スタックアンプ”と”コンボアンプ”です。どちらにも一長一短な部分があります。

その他にもアンプ選びや音作りのヒントになる要素があります。

※このページの内容はエレキベースにも共通しています。


・アンプには様々なワット数の製品がある

ワット数というのは電化製品のカタログにのっているWという記号で表されている数値です。

消費電力という言葉でも言い表せますが、簡単に言ってしまえばアンプの出せる最大パワーです。

単純にワット数が増えれば大きい音量を出せるのですが、バルブステートの場合は単純に音量だけではなく音色の傾向も変わってきます。

・ソリッドステートなら出したい最大音量が目安

先にワット数の比較がしやすいソリッドステートから違いを把握してしまいましょう。

ソリッドステートアンプは音量を上げてもアンプから出てくる音色自体は変わりません。ただし最大近くまで上げればスピーカーそのものが音割れする事はあります。

ワット数を選ぶ基準は使用する環境に合わせれば良いです。

家でしか弾かない場合は10ワットモデルでさえ近所迷惑になるぐらいの音量が出せますが、キャパが200人程のライブ会場で弾くには20ワットぐらいある方が良いです。

またそれ以上の規模のライブならば、アンプからの音をマイクで拾いPAを通して別の巨大スピーカーから出力するのが普通なので、150ワットといった大出力が必要な場面はほぼ無しと言っていいでしょう。

もし使う機会があるとすれば、電源確保が少数しか出来ない状況でのライブや、必要な機材を最小限で済ませたい場合等です。

ソリッドステートアンプ画像

ソリッドステートアンプの例

・バルブステートは音量以外の要素も大事

バルブステートアンプの場合は0.1ワットでもボリュームを上げればアコースティックギターよりも大きな音が出せますが、全く歪ませずにクリーントーンで弾く時は物足りない音量です。

しかし4ワットもあれば家で弾くには大きいぐらいの音量になるので、求める音色と音量のマッチングが難しいのです。

50ワットもあるアンプならばクリーントーンでもとんでもない音量になりますが、100ワットのアンプは更に大きい音かと言うと、聴感上はそこまで大差はありません。

50ワットアンプの方が100ワットアンプよりも歪みやすいという特徴があります。それと同時にワット数が大きい方が音域が広い傾向があります。

もちろん同じワット数でもアンプが違えば音色も歪み加減も違うので、結局は単なる目安にしか過ぎないというのがワット数です。

ただしパワーアッテネーターやスピーカーには許容量があります。出力が大きいアンプは組み合わせられない可能性があるので、繋ぐ機材のスペックは確認しておかないといけません。

バルブステート画像

バルブステートアンプの例

ワット数が大きい場合(バルブステートアンプ)

  • 大きい音のクリーントーンが作りやすい=歪みにくい
  • 比較的音域が広い=低域から高域までカバーし易い
  • チューブの数が多くなるのでアンプのサイズが大きくなりがち
  • 1本あたりのチューブに負荷をかけにくい動作方式が多い

ワット数が小さい場合(バルブステートアンプ)

  • 比較的小音量でも歪ませやすい=クリーントーンだと物足りない音量になり易い
  • 音域が狭くなりがち=耳に痛くなく聴きやすい音を出し易い
  • 電源を入れている間チューブに負荷がかかり続ける動作方式が多い

ワット数の大小の違い(ソリッドステートアンプ)

  • ワット数が大きい程音量を稼げる
  • 最小音量の加減はワット数が小さい方が調整し易い

・同じラインナップのワット数違い

各アンプメーカーは様々な製品を出していますが、ほぼ同じ名前のアンプでもワット数が違う製品があります。(型番の数字違いが多い)

ソリッドステートもバルブステートもワット数が大きいモデルの方が、音色の調整が細かく出来きるようにツマミがたくさんついていたり、エフェクトの数も多いというパターンもあります。

逆に一見見た目はほぼ同じだけれど、ワット数だけが違うモデルもあります。この場合は純粋に作れる音色の好みだけで選ぶ事になります。

楽器屋では大きい音での試奏が難しいので、自分にとって”良いアンプ”に出会うには、たくさん買っては売ってを繰り返して探していくのが一番確実なのです。