ギターコードフォーム、3つの覚え方と2つの練習方法

曲の伴奏を弾く時にコードを鳴らす事がよくありますが、コードネームだけでは押さえる音や形は具体的に指定されていません。

同じコードネームでも色々な鳴らし方があるので全部のパターンを丸覚えするのは大変です。

このページではギターでのコードフォーム作りと覚え方のポイントを紹介します。


・主な覚え方は3通り

ギターでコードを覚える時の考え方や練習方法は主に3通りあります。

それぞれにメリット・デメリットがあるので、目的に合わせて考え方を変えるのも楽器を長く楽しむコツです。

1.フォームを丸覚え

曲を習得するのに一番早い方法です。ギターを始めた頃は特に何も考えず、いきなり”Cはこういう形”という風に覚えます。

メリットは、

  • 形さえ知れば後は押さえる練習をすればいい
  • カポを付けても混乱しなくて済む

という点です。曲の中にコードが六つ出て来るとしたら、その六つのフォームをそのまま作る練習をします。

デメリットは、

  • 新しいコードは覚える形がどれなのか探さないといけない
  • 曲の流れで覚えてしまうと他の曲で応用しにくい
  • 数が多くなると忘れてしまう

という点です。CやGなどのコードなら多くの曲で目にするので、自然と覚えてきます。

しかし例えばBdimなどのコードが出てきても、よほど印象に残っていない限り新しい曲を練習する時に思い出しにくいです。

また曲や楽譜によって、コードネームが同じなのに押さえ方の指定が違う時も混乱してしまいます。

こういう場合は”覚えている押さえ方”を使っても全く問題はないので、無理に新しいフォームを覚えなくても良いです。

2.音楽理論と照らし合わせて覚える

直接的な練習にはなりにくい覚え方ですが、基本を覚えれば新しい曲にも対応できる方法です。

メリットは、

  • 知らないコードネームを見ても押さえ方が導き出せる
  • ギター以外の楽器にも応用できる
  • 作曲や編曲、アドリブにも知識が役立ってくる
  • 変則チューニングにも対応できる

という点です。ギター以外でもコードを鳴らす場面があれば、少しずつでも良いので覚えていけば応用できる知識になっていきます。

またテンションコードやオンコードを導き出す時に応用がききやすい覚え方です。

デメリットは、

  • 指板上の音の位置を覚えるのが大変
  • 慣れないと音の組み合わせがすぐに浮かんでこない
  • 指の練習よりも知識の勉強に時間がかかる

という点です。他のページに音名と度数の関係を載せていますが、そういった知識を一つずつ積み重ねるのには根気が要ります。

曲をすぐに弾きたい場合には不向きと言えますので、あまりオススメな覚え方ではありません。

3.ルートとフォームの組み合わせで覚える

ギターのコード一覧表が載っている本などには、○m7(○の部分は音名)のフォーム、○add9のフォーム、等のように音名を省いて押さえる形を紹介しています。

メリットは、

  • 指の形で名前と響きを連想できる
  • キーを変えて弾く時も応用がきく

という点です。例えばメジャーコードしか出てこない曲なら、一つの形を横移動するだけで弾けます。(無駄な動きが多く疲れるので普通はしない弾き方です。)

デメリットは、

  • 最低限のルート位置(指板上の音名)を覚えておかなければならない
  • 開放弦の有無で形が混乱してしまう
  • セーハ(バレー)フォームが多い

という点です。覚えるルートは4弦、5弦、6弦の6フレットまでで十分ですが、曲を弾くならメジャーの形だけでも3つは覚える必要があります。

・オススメの練習方法その1

コードを覚えていきたい時の具体的な練習方法として、上記の1と3の覚え方を組み合わせるのが有効です。

最初は出てくるコードが三つか四つ程度の曲でフォームを丸覚えします。(既に色々な曲を弾いてきた人は初見で弾ける曲でもいいです)

次にその時使ったコードのルート位置を探して覚えます。

例えばDmならルートは4弦開放、5弦5フレット、2弦3フレットになります。まだ2弦のルート位置は覚えなくていいので、5弦のルートの○mフォームを探して押さえます。

コードダイアグラム例

ルートポジション例

コードフォーム例

つまり、

  1. 知っているコードのルートを見つけて、違う場所のルートを探す
  2. そのルートを起点に、同じ響きのコードフォームを調べて作る

という事を繰り返します。最初は大変ですが慣れてくればすぐにフォームが思いつくようになります。大事なのは自分で音と形を調べて探す事です。

いきなり曲中の全部のコードを変更するのは大変なので、一つか二つだけで良いです。

・オススメの練習方法その2

もう一つの方法として”カポを使う”というのがあります。

最初からカポ付き指定の曲ならカポを”外す”か”ずらす”かしてコードフォームを変換します。

元々カポ付きの指定が無い曲は、あえてカポを”付けて”フォームを変換します。付ける位置は2フレットが無難です。

カポの位置によって、全体の音程も変える必要があります。

装着していない状態(つまりカポ0フレット)から2フレットに装着した場合、例えばDのコードならCになります。

カポによって音が半音二つ分上がっているので、押さえるコードは半音二つ分低い音になる、という考え方です。

カポ装着例1

カポ装着例2

つまり、

  • カポを付けるか外すかずらす
  • 音が原曲と同じになるようにコードを変化させる

という練習です。音程の知識が多少は必要ですが、少ないコードの曲でもいくらでも応用できるのでわざわざ新しい曲を探さなくて済みます。

時間が取れるのなら二つの練習方法を併用していけばいいですが、その1の方法だけでも構いません。