リズム追求、楽器と3つのリズム体系

歌を歌ったり楽器を奏でるには、何かしらの”動作”で発音しないといけません。この発音の違いによってリズムの周期性に影響を及ぼします。

自分に合ったリズム感覚に近い楽器との出会いが、心地いい音楽との出会いに繋がるかもしれません。


1.跳ね上がり系リズム

ドラムやカスタネットやカホン等はパーカッションと呼ばれるパートになります。これらの楽器は普通叩いた後すぐに手なりスティックなりを離します。その方が次の動作にすぐ移れるのと、楽器の鳴りを殺さずに響かせられるからです。

この動作から来るリズムは”点”で的確に捉える印象があります。リズムカルにボールが弾むようなイメージも持っています。演奏やダンスの”キレ”を鋭くしたい場合はこのイメージをしっかり持つと良いでしょう。

ピアノやオルガン、ヴァイオリンやギターでもスタッカート気味に表現する時はこの”跳ね上がり感”を重視するように演奏します。しかし鍵盤楽器はまだやり易いですが、弦楽器や管楽器は出した音の制御が難しい楽器なので、少々苦手なリズム感覚とも言えます。

跳ね上がりイメージ画像

2.往復系リズム

ギターの指弾きやピック弾き、ヴァイオリンやチェロのボウイングは音を途切れささずに次の音の発音が容易に出来ます。特に同音連打(同音トリル)を滑らかに表現するにはうってつけの楽器なわけです。

動作の往復は8分や16分を機械的に刻み続けるのに適しているので、素早いフレーズを奏でるのにも向いています。また空ピッキングというテクニックを用いれば、”ノリ”を保ち続けるのも楽になります。

ただしアクセントやスタッカートと言った表現は制動力を高める必要があり、それは体の負担も大きいテクニックなので簡単ではありません。

ハーモニカのように息を吸っても吐いても音を鳴らす場合も一種の往復運動です。鍵盤楽器も2本指で交互に弾けば弦楽器の指弾きと似たような動きですが、音の持続性の関係から少しリズム感覚が変わってしまいます。

往復のイメージ画像

3.溜め込み系リズム

分類の名付けに少々困りましたが、ピアノやオルガンのような鍵盤楽器、声や笛などのような楽器は音の持続をコントロールするのに向いている楽器です。

ただし同じ音を連続して発音するには、鍵盤を押さえなおすなり、息を吹きなおすなりしないといけません。つまり必ず”途切れ”が生まれてしまいます。

テクニックでこの途切れを極限まで小さくは出来るでしょうが、次の発音までのリズム感覚を失いやすい動作なので、人によってのリズムのばらつきが大きい楽器と言えます。言い換えれば音に個性が生まれやすいという事です。

ヴァイオリンのような弦楽器は弓を使っているので、腕の長さの分だけ発音時間をコントロールする事ができます。つまり演奏テクニックさえ身に付ければあらゆるリズム感覚を反映させる事が出来るので、表現力の高い楽器と言われる所以なのです。

・他の楽器を参考にする

主に三つの動作から来るリズムの捉え方の違いを述べましたが、どの楽器も意識の持ち方やテクニックで”歌わせ方”や”ノリ”をコントロール出来るわけです。

もし今弾いている楽器の表現力を増やしたい時や、リズムそのものの感覚を高めたい時は是非他の楽器も聴いてみるなり触れてみるなりすれば新しい世界が広がるはずです。