書店や図書館に置いてある、楽器の教則本を見ていると感じる事があります。
それは”昔に比べて非常に親切”という感覚です。
写真の量もさる事ながらDVDやCDが付属している事は当たり前で、ページレイアウトも”間”を多用しスッキリとした印象を与える構図です。
文字が大き目で、譜例も非常に簡単な物が採用されています。
・目指すところは”とっつき易さ”
昔の教則本と言えば、
- 説明の9割は文字で、写真やイラストは僅か
- 文体も堅苦しく文字数も多い
- 後はひたすら譜例集、しかも初心者が演奏できる内容ではない物も
と言った形態をとっていました。
昨今の物に比べると、”初心者向けなはずなのに敷居が高く見える”と言っても過言ではありません。
今の時代は”どれだけ多くの人に楽器を始めるきっかけを与えるか”、”どれだけ飽きさせないか”、を意識した造りになっているのが”とっつき易さ”の目安でしょう。
とっつきにくいと感じた本は中身を吟味されず、買う人も少ないので仕方ありません。
・簡単に見える事のメリット
どんな楽器でも”良い音”を追求していくと”奥深さ”と同時に”難しさ”に出会います。
これは弾く事の”楽しさ”が無くなってしまうばかりではなく、最初から”弾ける気がしない”と思わせてしまいます。
しかし教則本で”簡単に弾けそう”と少しでも思える内容なら、”趣味として楽しむ”きっかけを生んでくれます。
こういう面は、本来楽器に触れる気が無かった人でも楽器を始める機会になるという意味では大きなメリットです。
・デメリットは”向上心の阻害”
とっつき易く資料も十分に備わっているのは便利な反面、”自分で工夫”したり”必死に覚えたり”しなくなってしまいます。
譜例が難しいと感じても、何とか読み解き練習して得られた経験が後に役立つ事もあります。
その機会が減ってしまうどころか、”わからない事はすぐに諦める”癖を付けてしまう恐れもあります。
レッスンを受けている人も、”難しい事でもどれだけ簡単にわかりやすく教えてくれるか”という事を期待しています。
もちろんある程度噛み砕いで、”簡単でなおかつ楽しく伝える”方法を模索しています。
しかし簡単に伝えれば伝える程、その難しさとのギャップについて来れなくなってしまう場面も少なくありません。
・結局は順を追っていけば良い
最初のきっかけは何であれ、習熟度や理解度に合わせて教則本も買い増していけば良いです。
どの本を見ても、”難しい部分やわからない部分が無い状態”にすれば確実に上達しているという証拠です。
いきなり難しい物を選んでしまっても、それはいつかまた”役に立つ資料の一つ”になるように続ければ良いのです。
どういう資料や練習が自分に合っているかで悩んでいる方はお問い合せフォームよりご相談受け付けております。