ソフトやハードウェアの環境設定でおおまかに設定しますが、PCの負荷によっても多少変わってしまいます。
このページでは簡易的にレイテンシーを測り調整する方法を解説します。
・レイテンシーとは
レイテンシーを一言でいえば「遅延」の事です。
生楽器を録音する時だけでなく、ソフト音源の音声データ化でもレコーディングを行います。
レコーディング時に、発音したタイミングよりも少し遅れて録音されるのがレイテンシーです。
またソフト音源の場合は”発音タイミングそのものが遅れる”というのも珍しくありません。
この現象を把握しておかないと、「ちゃんと演奏できたはずなのに何となくズレている」「人からもらったデータがうまくシンクロしない」という状態になります。
・ビットレートとサンプル数の関係
DAWソフトではビットレート(サンプルレート)設定を行います。
基本的には44.1kHzか96kHzという値を用います。
これは音源データを1秒間に44100個のデータで保存するか、96000個のデータで保存するかという違いがあります。
このデータ一つ一つが”サンプル”や”ビット”と呼ばれています。
古いゲームの音声などは8ビット音源というのが使われていました。
聴いたことがある人はとても荒い音質だと感じると思いますが、あれは1/8秒毎に波形が分割されてしまっているからです。
つまりビットレートが多い程滑らかに波形が繋がり自然な音に聴こえるわけです。
ただし情報量がその分多くなるので、データその物も重く再生に負荷がかかります。
・エフェクトやプラグインの影響も大きい
レイテンシーに関わるのはビットレート設定だけではなく、使用しているプラグインやエフェクトの影響も受けます。
ソフト音源でも動作の軽い物や重い物があるので、レイテンシー設定通りの遅延にならない事も多いのです。
特にコンプレッサーやディエッサーっといったダイナミクス系のエフェクトを使っていると発音タイミングそのものが重くなる傾向にあります。
・レコーディング前のチェック
実際にレコーディングを行う時は、事前にチェック用の音源(クリック音など)を打ち込んで録音してみれば良いです。
ミキサーをPCに接続しているなら再生音をそのまま録音トラックに送ってしまえば良いです。
もっとアナログな方法ならスピーカーから出た音をマイクで拾ってしまう方法もあります。

レイテンシーチェック例
これはソフト音源をオーディオデータとして録音した波形の画像です。
理想は打ち込み箇所と同じ0サンプルの位置から録音される事ですが、発音時と録音時のレイテンシーで2603サンプルの位置から記録されています。
ディレイやリバーヴで扱うmsという単位(1ms=1/1000秒)で表せば実に27msもの遅延となります。
あまりに短い時間ですが、音楽では致命的なほど”ズレて”聴こえる時間です。
この場合2603サンプル分を切り取ってしまえばいいだけですが、レコーディング作業を進めていくうちにエフェクトをかけなおしたりするとレイテンシーも変化してしまいます。
細かい作業ですがリズムがばっちりあった音楽を作る為には、こうした編集にも気を使わないといけない事を覚えておくと良いでしょう。