音楽制作個人とプロの単価、15秒の曲で50万円は高いか安いか

DTMの普及によって個人的に楽曲制作を行うハードルは各段に下がりました。

そして楽曲を多くの人に聴いて貰える可能性も、インターネット上に作品をアップロードすれば0ではありません。

趣味で多数の曲を作っているうちに収益を得る人も居ますが、”曲の単価”を自分で決定する機会もあります。

このページでは個人レベルでの楽曲提供時の収益例やプロの収益例を紹介していきます。

これから制作での収入を得たい人や、既に得ている人の参考になれれば幸いです。


・個人制作での単価例

趣味から副業の範囲で個人的に楽曲制作を担っている人は自分で顧客と交渉する事になります

作品の完成度や量、単価はフォーマットが出来上がるまでは顧客側の都合を優先する事が多いでしょう。

・例1、結成したばかりのバンドマン

過去に当サイト運営者自身が曲作りを請け負った例です。

制作依頼者はギター初心者という名目でレッスンを受け始めた人でしたが、V系バンドを結成しギターを担当する事になった人です。

そのバンドメンバーの一人が簡単にコードと歌を作ったりしていましたが、曲として形にする為の手助けと新曲の提供です。

その時の単価は”1曲あたり5000円”。

打ち込みだけではなく生ギター&ベース録音、曲によって耳コピや作詞やマスタリングも含めてなので破格と言えるでしょう。

DTM画像

・例2、個人ミニアルバム制作依頼

この例も当サイト運営者が請け負いました。

バンドスタイルの弾き語りが好きだけれど制作環境が無い人、が依頼者でした。

最初は3曲入りのCD作成で”1曲あたり5000円”で制作しました。

コードやメロディーは本人が用意してありそれを参考に生ギター&生ベース&打ち込みドラムを作成、ボーカル音源は本人に録音してもらいデータを送ってもらいました。

全体的にラフなミックスでしたが生演奏録音を行ったので割安といった感じです。

・例3、引き続き同じ依頼者からのCD制作

次の依頼は5曲入りのCD作成で”1曲あたり3万円”です。

この場合も基本的には歌メロやコード進行は依頼者本人が既に作ってありましたが、ラフに録音されている音源を耳コピするところからのスタートです。

おおまかなアレンジは前回と同じですが、打ち込みシンセによる別パートの追加や細かい音量&エフェクト調整も入れました。

そしてボーカルはスタジオでレコーディングを行い収録。

経費は依頼者持ちですが、レコーディング用の機材は全て当サイトが用意したものを使ったのでこの制作も比較的安価であったと言えるでしょう。

・例4、弾き語り系楽曲提供

これはギター講師をしている知人の例です。

この知人もDTMによる制作は趣味でやっていますが、依頼された曲作りは弾き語り系の楽曲でした。その単価は”5000円”。

内容は、”歌メロを作曲しコードを付ける”というシンプルなものです。

作曲が得意な人からすればあっという間に出来てしまう事なので、個人制作としては妥当な金額でしょう。

・企業制作での単価、年収例

名前は伏せておきますが、2018年現在様々なメディアで音楽制作を行っているプロの方の例をご紹介します。

この方は一旦は音楽ユニットという形でデビューをしましたが、知名度はあまり得られず、本人もまた裏方が向いていると感じていました。

なので契約中のレーベル内で音楽制作部門に転向する事になりそれが巧を奏しました。

テレビドラマやアニメの主題歌や劇伴制作、アーティストのアルバム制作、CM用の楽曲制作など多岐に渡る活動をしているので年間で300曲は手がけています。

コンソール画像

主な収入は、1年前の制作で生じた権利収益で”年収は数千万円”に及びます。

「インターネットを利用している人なら大半がお世話になっている企業のCM楽曲制作」、を請け負った時は”15秒の曲で50万円”。

趣味レベルの人からすればとても高単価に思えますが、リテイクの多さや企業の知名度から言えば本人にとってはとても割安な仕事になってしまいました。

ただしこれは制作者本人が得られた額で、制作会社の取り分や仕事を貰ってきたマネージャーの取り分も実際には支払われています。

このプロの方のように自前のスタジオで半分引きこもりひたすら制作出来る環境は、クリエーターから見れば羨ましくも思えるかもしれません。

しかし常に納期に追われるのと、新しいアイデアを生み出し続けなければいけないというプレッシャーは計り知れないのです。

・単価を決める目安

企業としての仕事の場合は自分自身で金額を決める機会は少ないでしょう。

しかし個人制作の場合はあらかじめフォーマットを作っておくか、要望に応じて臨機応変に金額を決められます。

最初は実績や経験の為に安めで提供してしまいがちでしょうが、そこはビジネスライクに”制作時間+経費”と決めておいた方が良いです。

実作業時間あたりの単価は”自分の納得出来る金額”を設定する事になります。

時給制のアルバイト等をした事がある人にとっては、1時間300円程度の仕事はモチベーションが下がります。

逆に1時間1万円にしたいと思えば、それだけ自身の価値を高めていく必要があります。

・権利収益という不労所得も視野に

音楽制作は作った時よりも”作った後”に価値が膨れ上がる場合があります。

「制作単価は安めに提供する代わりに権利収益は高めの取り分」と交渉したり、「権利は依頼者に譲渡するので制作単価は高め」と設定する事も出来ます。

後で揉めないようにもその辺りは明確化しておき、円滑に仕事に取り掛かれるように努めましょう。

また同じクオリティや制作期間の作品でも、依頼者の需要によって単価は大きく変わります。

安請負は身を滅ぼすので、極力単価を低くしないようにするのも制作を続ける上では必要な事なのです。