しかし”曲作り”となると最低限コード付けぐらいは含めるのが普通と感じるかもしれません。
曲作りに慣れるまでは、「思いついたメロディーに合ったコードがわからない」という場面にも良く出くわすでしょう。
このページではメロディーに対して調和感のあるコードの探し方を紹介します。
1.メロディの音階から当てはめる
一番オーソドックスな方法は、既に作ってあるメロディーの音階をそのまま組み合わせます。

メロディー例 使われている音階はドレミソ
上記の例では1小節の中の音階は ド レ ミ ソ の4つです。
この音階をそのまま組み合わせたコードはCadd9というコードになります。
もう少し簡略化して普通のCコードでも当然違和感なく響きますし、C7(ド ミ ソ シ♭)もよく馴染みます。
・時間当たりにどの音階の割合が多いか
先の例ではCメジャー感のあるメロディーだったのでCを基準としたコードを紹介しました。
しかし小節の中で ド が鳴っている時間は短く、ミ と ソ の方が合計時間は長く響いています。
前後の関係や音楽的な音の強さ(理論的な意味で)もあるので、長さだけを基準にしているわけではありませんが、不協和音の時間が短いほど親和性が高いのも事実です。
もしこの小節に対して1つのコードしか付けない場合は、ミ と ソ を基準に考えたコードもよく調和します。
他に調和感の高いコード例
- Em(ミ ソ シ)or Em7(ミ ソ シ レ)
- G(ソ シ レ)or Gsus4(ソ ド レ)
- FM7(ファ ラ ド ミ)or Fadd9(ファ ラ ド ソ)
- Am7(ラ ド ミ ソ)
- Dm7(レ ファ ラ ド)
2.大きなリズムのベースを付けてみる
コードをいきなり付けるのが難しい場合はベースから考えるのも有効的です。

メロディー例 あまり音楽的ではない
このメロディー例は調性を無視した流れになっています。(部分的に見れば調性感の強い部分も一応あります。)
半音階を多用しているのでどんなコードを当てはめたところで必ず不協和音は避けられません。
ただしベース音だけならいくらか妥協できる響きはあります。

ベース音を付加した例
1小節に対して1つのコードが難しければ2分や4分にわけても構いませんが、あまりに細かいとハモリと差が無くなってしまいます。
この例では2分で流れを作っています。
実際の曲では無理にコードを付ける必要はなく、この時点でもフレーズとして使えば良いのですが一応コード付けの例という事で無理矢理他の音も重ねていきます。

無理矢理コードを付けた例
ベースが決まれば基本的にはルートとして扱えばいいのですが、どうしても響きが濁ってしまったり面白みに欠ける時はオンコードにしてしまいます。
この場合、AonC♯(ド♯ ラ ミ) D♯m♭5th(レ♯ ファ♯ ラ) E(ミ ソ♯ シ) E♭(ミ♭ ソ シ♭)というコード進行が出来上がりました。
ベース音を並べた時のように妥協した響きを重ねただけなので、音楽理論は一切無視しています。
ただしベースがなるべくルートになるように配置したので、既存のコードに拘らなければもっとより良い響きがあるかもしれません。
3.オブリガートを入れる
コード付けはベースを入れればだいたいは上手くいきますが、オブリガートを入れてみるのも違うパターンを探すヒントになります。
オブリガート(対旋律、カウンターメロディーとも)とはメロディーに対して付けられた違うメロディーの事です。
一番単純なのは同じリズムを違う音程で重ねたものです。

メロディーとオブリガートの例 全く同じリズムのパターン
リズムが全く同じ場合は”字ハモ”とも呼ばれます。(歌モノで同じリズム、同じ歌詞でハモるのが由来)
オブリガートはメインメロディーと差異があるのも音楽の魅力なので、リズムパターンも変えます。

オブリガートを変更した例 メインメロディーのリズムを応用
こちらはリズムパターンも変えたパターンです。
メインメロディーと全く別のリズムも使って問題ありませんが、規則感を出す為にリズムの順序を応用した例です。
さっきのパターンと似通った響きですが、ところどころ違うコードが生まれています。
この例では調性感を意識しているので二和音でも連想されるコードは限られてきますが、パートを増やせば更にコードの響きは複雑化していきます。
細かい動きでかえってコードがわかりにくくなるかもしれませんが、1つ目の探し方に戻って”使われている音階の割合”を見てみると良いのです。
おまけ.しらみつぶしに音を埋めていく
無理にコードネームを決めずに済むのならメロディーに制約は一切ありませんが、誰かと即興でセッションしたり既存曲をアレンジする場合はコードがあると便利です。
何のコードかがわからなくても”音が心地よければそれでいい”というぐらいの気持ちなら、とても原始的な方法があります。
それが”しらみつぶし”です。
楽器や歌だと実際に演奏しながらや録音しながら探す事になりますが、DTMなら打ち込みでいくらでも出した音を再現出来ます。
あまり名前にとらわれずに、”音の響き”を重視して曲を作るのも間違いではありません。
”編曲”という世界は無限の可能性がありますので、「正しいか間違いか」という部分に拘りすぎないようにしてコード付けを行ってみましょう。
響きに納得が出来ればそれが一番良い音楽になります。