”楽器が弾けて音楽的知識がある”という要素を除けば、接客業か営業に分類される職業です。
では「音楽講師にとっての仕事とはどういったものなのか」を、仕事と作業の観点から述べていきます。
・一般的に認識されている仕事と作業
仕事という意味は、広義では”働きかけ”の事です。
作業は”目的の為の手順”といったところでしょう。
しかし一般的な社会での仕事と作業は違うものとして捉えられています。
仕事は”自分から与えるもの”、作業は”人から与えられるもの”といったニュアンスです。
講師業でもその点は共通しています。
・仕事は常にクリエイティブである
音楽講師の仕事はレッスンがメインですが、実はレッスンの大半は作業になります。
講師になりたての頃は常に試行錯誤ですが、教材の進め方や曲の選び方はだんだんとパターン化していきます。
ただし接客業の面もあるので、生徒によって話し口調を変えたり選曲を好みに合わせたりするのは仕事になります。
また同じ教材でも教え方を相手によって工夫しなければなりません。
流行の曲や、知らない曲を分析したり練習したりするのも仕事と言える行為なのです。
・仕事には発展性がある
レッスン以外の作業は曲の準備や進行度の確認、譜面の編集や楽器注文などがあります。
大半は作業化しなければなりませんが、新しい曲や教え方を考えるのは技術と知識の発展に繋がりますので仕事になります。
集客や入会のための広告考案や、新しいレッスンプランを試行錯誤するのも仕事といえます。
一日中休みなしでレッスンが続く日もありますが、空いている時間も大事に使うのが講師業です。
・作業は必要不可欠
多くの職業では仕事が重点的に扱われ、作業は軽視されがちです。
雇用条件にもよりますが、労働単価の面でもその傾向が伺われます。
しかし作業は仕事を進める上でどうしても避けて通れないので、どれだけ効率化してもやらざるを得ないのです。
クリエイティブな仕事をし続けるのは意思決定の連続なので脳への負担も大きいです。
単純作業はある意味”脳を休ませる時間”と捉えても差し支えないと思えばさほど苦にはならないでしょう。
・向き不向きは少なからずある
人によって仕事が楽か作業が楽かは違ってきます。
もし音楽講師をやりたいけれど、なるべく仕事を与えられる側につきたい場合は”公立の教師”になる他ありません。
もちろん授業の進め方を組み立てたり、テスト問題を作成したりしなければなりませんが、カリキュラムは決まっているので楽です。
しかし作業よりも仕事を重視したい人は、私立や専門学校の教員になるか音楽教室との雇用契約、または自ら運営するのが向いています。
ただし教室との契約は注意が必要です。
「レッスンを行った」という面しか評価にならず、その他の時間は全て対価に反映されないという契約はモチベーションが下がります。
多くの教室は仕事を生み出す人ではなく、単なる作業員が欲しいだけなのをよく理解しておきましょう。
しかも拘束時間や作業量に比例しない低待遇なのが多いのもこの業界の負の部分です。
・仕事を見つけられれば楽しくなる
音楽講師という職業は、残念ながら人が生きる為には全く必要のない職業です。
他の職業でも、「何故こんな事をしているのだろう」と疑念に抱いてしまう時期はありますが、よりそれが強く感じられてしまいます。
しかし大半の職業は”多くの人にとって”さほど需要がなかったりします。
小さな需要の為に仕事を見つけて生み出す事が、楽しみに繋がり誇りが持てるようになるのです。