音楽理論の正体、どんな人にとって必要なのか

音楽を純粋に聴く時は和声だとか旋法だとか、そういう類の知識は特に必要ありません。

聴いて感動するかしないかだけが良い音楽か否かの違いになります。(ただし音楽の専門家と呼ばれる人たちは少なからず理論的な観点からも聴いてしまう節はあるでしょう。)

しかし演奏する時や作曲する時、つまりアウトプット側に回った時に音楽の理論を知っているか知っていないかは多少影響してきます。

特にマンネリ化と呼ばれる現象が起こった時の打開策として音楽理論を用いれば新たな道が開かれる場合もあります。

・音楽理論とは一体何なのか

コードネームが何であるだとか、スケールが何であるだとか、アヴォイドノートがどうであるだとか、そういう事を思い浮かべる人も多いですが、ただ単に”名付け”と”パターン化”を行っただけのものが音楽理論です。

元々は音楽があって、多くの人にとって好まれてきた響きやフレーズを集めてまとめただけのものです。

もし全く音楽理論を知らなくても、”耳の感性”さえあれば作曲も演奏も出来ます。楽器を演奏するだけなら、極論ですが耳さえも使わず”体の使い方の再現性を高める練習”をすれば十分です。

”どういうタイミングでどこのポジションを押さえればいいのかを覚える”、というレベルでも傍から見れば楽器が弾けていると捉えられます。

音の強弱や音色の使い分けと言った物を駆使すれば、理論など知らなくても表現力の富んだ素晴らしい演奏に聴こえるのも不思議ではありません。

理論画像

・演奏者や作曲家が理論を知らないデメリット

楽器演奏を行う人が、フレーズの丸覚えだけに頼ってしまうと起きる問題があります。

  • アドリブが全く効かない
  • セッションも決められた演奏しか出来ない
  • 記憶の紐付けも難しい

といった問題です。

作曲するという行為も何をどう組み立てたらいいのか手を付けられないという状況に陥ります。

せっかく出来上がった曲でも、他人から非難されてしまうと自信が持てなくなってしまいます。

ごく一部の人を除いて多くの人は残念ながらそこまで優れた耳を持っていないからです。

もし耳さえ良ければ次にどういう音が来れば思い通りの音楽になるのか、が想像できます。

その想像する部分を”耳だけに頼らず知識に頼ったもの”が音楽理論を使うという行為です。

・音楽理論に触れるメリット

音楽理論を知っている事によって、ある種の”しがらみ”に囚われて新しい音楽を生み出せなくなるという状態もあります。

けれどもそれは単純に知識量が少ないからです。

豊富な知識を蓄えて理論の枠を外れないようにすれば違和感の無い音楽が容易に出来上がりますし、逆にあえてそこから外れるという恐怖も無くなります。

生徒の中にも、”合っている音かどうか”を気にしすぎるあまり、積極的にアドリブにチャレンジ出来ない人も居ます。

そんな時こそ音楽理論を勉強していくと、より自由に振舞えるようになってくるのです。

もし新しい世界を見たいという欲望があるなら、音楽理論に触れてみるのも大きな助けになるというわけです。