音程名、コードの性質と解説

このページでは西洋音楽の理論を中心とした音程やコードの名前や性質を表にして載せています。


・音程と度数

”音程”という言葉は絶対的な音の高さを表す場合と、音と音の高さの距離を指す場合があります。そしてその距離には”度数”という名付けが行われています。

覚えておいて欲しいのは、

  1. 最小の距離を半音とする
  2. 半音2個分で1音、もしくは全音と呼ぶ
  3. 同じ距離でも場合によって名前が変わる

の三点です。

ドから見た距離 半音の個数で換算 度数(=距離の名前) 音程名
同じ高さ  0個分高い  同度、完全一度  ド
半音高い 1個分高い 短二度 レ♭
1音高い 2個分高い 長二度
1音半高い 3個分高い 短三度 ミ♭
2音高い 4個分高い 長三度
2音半高い 5個分高い 完全四度 ファ
3音高い 6個分高い 増四度、減五度  ファ♯、ソ♭
3音半高い 7個分高い 完全五度  ソ
 4音高い 8個分高い 短六度 ラ♭
4音半高い 9個分高い 長六度
5音高い 10個分高い 短七度 シ♭
5音半高い 11個分高い 長七度
6音高い 12個分高い 完全八度、オクターブ
6音半高い 13個分高い 減九度 (オクターブ上の)レ♭
7音高い 14個分高い 九度 (オクターブ上の)レ

以上の表はドを基準で見た時の距離名です。もしミを基準で見た時は短三度がソになります。ここまでは簡単ですので覚えてしまいます。

音程名画像

音名と度数の例

・減音程、増音程

ここの項目はとてもややこしい話になります。あまり知らなくても実用性には困りませんので補足程度です。

さっきの表で”減九度”という度数がありました。これは言い換えれば”オクターブと短二度”です。しかし九度以上は短も長も付けずに表します。

また”増四度”と”減五度”がありました。こちらも短とも長とも違う表現です。

これらの表現は”五線譜上で記入した位置”に合わせて呼び方を変えているだけです。例えば”短三度”は”増二度”と表す場合もあり、その時の音程名は”レ♯”になります。音は同じ半音3個分高い音です。

見易さやメロディーのイメージで記入の仕方を変えるので、度数名も変えているのです。ややこしくなった時は半音の個数で数えれば具体的な距離がわかります。

・コード(和音)の性質

コードネームは組み合わせた度数を基準に名付けを行っています。

ここでは音の響きの性質を優先し、2つの音程の組み合わせの性質をまずは覚えておくと良いです。

組み合わせる度数 響きの性質名 音程組み合わせ(右が高い音)
同度 完全協和音 ド ド
短二度 不協和音 ド レ♭
長二度 不協和音 ド レ
短三度 不完全協和音 ド ミ♭
長三度 不完全協和音 ド ミ
 完全四度 完全協和音 ド ファ
増四度、減五度 不協和音 ド ファ♯、ド ソ♭
 完全五度 完全協和音 ド ソ
短六度 不完全協和音 ド ラ♭
 長六度 不完全協和音 ド ラ
 短七度 不協和音 ド シ♭
 長七度 不協和音 ド シ
完全八度 完全協和音 ド (オクターブ上の)ド
減九度 不協和音 ド (オクターブ上の)レ♭

以上の表も基準をドにしています。例えばファとラを組み合わせた場合、長三度なので不完全協和音の響きになります。

この場合も度数の名前がややこしい場合は、半音の個数で判断すればわかりやすくなります。

短と長という名付けは、音の距離だけでなく響き方も少し意味してくれています。短は暗い響き、長は明るい響きというのが一般的な解釈ですが、実際は曲の流れによりけりです。

四度と五度は不完全協和音が無く、完全協和音(澄んだ響き)と不協和音(濁った響き)しか無いので減や増という表現で度数を示しています。

・コードの不思議

よく使われるコードにCメジャーコード(略してCコード、Cとも)があります。音の組み合わせはドミソです。

意味としては、”C(この場合はドという音名の英語表現)音を基準とした明るい響き(=メジャー)の和音”となります。

ドを基準にした場合、ドミの組み合わせで少し明るめの不完全協和音、ドソの組み合わせで完全協和音が生まれています。

特にドソの響きが”安定した澄んでいる音”なので全体的にド(C)の音が基準に聞こえます。

しかし順番を変えてもCコードのままです。例えばミソドやソミド等の順番で組み合わせた場合です。

ミソドの時にミから基準で見ると、ミソで短三度の不完全協和音、ミドで短六度の不完全協和音という組み合わせになっています。

このコードはEm♭6th(Eマイナー フラットシックスス)という響きも連想できますが、完全音程が入っていないので連想が薄くなります。

前後のコード進行によって、CコードともEm♭6thにも聴こえるというのがコードの面白いところでもあり、難しいところでもあります。

・省略コード

同じ音程を組み合わせても連想されるコードが様々になるのを利用して、音数を省略する事も頻繁に行われています。

さっきのCコードで言えば、ドミ、ドソ、ミソ、ミド、ソド、ソミという風に音程の順序も変えれます。

前後の流れやその他のパートの組み合わせで、全体の響きがCコードと認識出来ればコード感はCと言って構いません。

例えばミソと鳴っている時に、Em(ミソシの組み合わせ)の雰囲気が強い時はEmとなりますし、ドミと鳴っていてもAm(ラドミの組み合わせ)が連想される場合もあります。

実際に作曲やアレンジをする時は、具体的にコードネームが何かというよりは、実際に耳にした響きや流れが良ければそれでいいのです。

所詮コードネームも単なる名付けに過ぎないのです。