特に広いコンサート会場で大勢の演奏者と指揮者が並ぶ姿が象徴的です。
楽器の配置もおおよそ似たような構成になっていますが、その理由を簡潔にご紹介します。
1.室内楽からの弦楽器
オーケストラ、特にフルオーケストラと呼ばれる形態ならヴァイオリン属とフルート族、ホルン族に打楽器群という編成が一般的でしょう。
時代を遡ると主役は弦楽器にあり、管楽器は加わってもオマケという位置付けからスタートしています。
理由として”演奏性”と”音域”があげられます。
- 昔の管楽器は技巧的なフレーズに向いていない造りだった
- 早い段階から各パート(ソプラノからコントラバスまで)が充実していた
という面から室内楽の延長線上で弦楽器主体の形が維持され続けてきました。
2.人数と見栄え
オーケストラの見た目は圧倒的に弦楽器の人数が多いです。
これは管楽器に比べて”音が通りにくい”という弦楽器の弱点から来ています。
逆に言えば管楽器は人数が少なくてもよく響かせられるのですが、多すぎるとアクの強い煩すぎる音楽になってしまう危険性があります。
また演奏時では弦楽器の方が”弾いているとわかりやすい動き”なので華やかに見えてしまうのです。
その他の打楽器などは音色が”よく目立つ”ので必要最低限の数しか配置されません。
3.左右のバランス
前後の関係は先の理由から必然とも取れますが、左右に関しては偶然という以外考えられないでしょう。
近年では右側に低音パートが寄っている形態が広まっていますが、必ずしもそれを厳守しなければいけないというわけではありません。
演奏者も聴衆も”聴き慣れた音”がそこにあるから、というのが理由とも言えます。
人によっては、音響心理学や脳科学の分野にまで手を出さなければいけない程に重要な事柄かもしれません。
しかし多くの音楽好きはそこまでシビアに捉えないものです。

・配置の違いによる面白さ
同じ楽曲でも音の配置によって聴こえ方は変わります。
音楽を創る側は”最も理想的な音楽”を生み出す為に音色や音量、残響のバランスを考えています。
しかし生演奏以外は、録音されたものをスピーカーやイヤホンを通して聴く事になり皆使っている機材も配置も違います。
いくらデータで確実に同じ演奏を再現できたとしても、”全く同じ音”を再現するのは意外と難しいものです。
そこに音楽の面白さがあるといっても可笑しな話ではないかと思われます。