作曲を始める時の5つの下準備

作曲とは音楽の創造です。極端な言い方をすればただ鼻歌を口ずさむだけでも作曲です。しかしそれだけだと普段聴いている音楽に比べて味気なく感じてしまう事でしょう。

編曲も一種の作曲ですし、アドリブもリアルタイムな作曲です。昔の音楽家は皆アドリブでも曲にしていました。

今の時代は気軽に録音が出来るので良いと思ったアイデアがあれば声や楽器を使ってすぐに記録できます。ただし構成や各楽器のパートを組み立てるには曲全体のイメージが必要になってきます。


・作曲の下準備

いきなりメロディーやコードが頭の中に浮かんでくれば、楽譜に書き起こしたりシーケンサーに打ち込めば形に残ります。それに曲のイメージがあれば勝手に音色も連想されていきます。

しかし何も浮かんでこないけれど、とにかく曲を作りたい、歌詞だけあるけれどどうすればいいかわからない、という状態ならまずは型にはめていくと良いです。

1.曲の長さを決める

作曲し始めると色々詰め込みすぎて段々と収集が付かなくなっていく事があります。なので最初から曲の時間を決めてしまいます。

最初は30秒前後から1分程度で練習してコード進行やメロディーの組み立てに慣れていきます。1分半も作れたらイントロからワンコーラスまでの流れが組み立てられます。

ドラマやアニメの主題歌の放送時間がだいたい1分から1分半が多いです。これぐらいの長さでも十分に完成度の高い曲になります。

2.拍子とテンポを決める

全体の長さが決まったら次は拍子を決めます。一番馴染みのある拍子は4/4拍子です。慣れてくれば3/4拍子の曲も練習するといいです。

テンポもBPM70~130の間で決めてしまいます。JpopでもBPM200等のアップテンポな曲はありますが、音数が多く展開も早いので不慣れだと作るのに疲れてしまいます。

シーケンサー打ち込みにしても生演奏録音にしても楽譜記入にしても大変なのです。

3.小節数を割り当てる

曲の長さと拍子とテンポが決まれば自動的に小節数も決まりますが、半端な数になると聴きづらくなりますので4小節の倍数で調整します。

例えば1分半の長さで4/4拍子のBPM80ならちょうど30小節になりますが、28小節か32小節にします。曲の長さを変えたくない場合はBPMを微調整します。

小節数を導く計算の順序は、

  • 60÷BPM数=1拍の秒数
  • 1拍の秒数×拍子数=1小節の秒数(拍子数は分子の数を使う)
  • 曲全体の秒数÷1小節の秒数=小節数

という順序で計算します。

4.分けたブロックに名前を付ける

先に4小節の倍数で調節したので、それを1ブロックとして扱います。32小節の曲なら8ブロックあるという事になります。

そうすると、1ブロック目はイントロ、2と3はAメロ、4はBメロ、5と6はサビ、7と8はアウトロ、などと分けてみます。

細かくメロディーやコードを配置していった時に違和感が出てくればBメロを長くしたりアウトロを短くしたりしても構いません。

実際の曲では綺麗に分けられてるパターンもあれば、2/4拍子が1小節分だけ追加されていたりする事もあります。作曲練習の段階なら無理やり決めた小節内に収めてしまうようにメロディーを作ってもいいです。

楽譜画像

ワンコーラスをおおまかに構成した例 フレーズやコードは後回しでも良い

5.使う楽器の数を決める

何か楽器をやっている人なら作曲の時もその楽器の音を使う機会が多いでしょう。歌がメインの人ならとりあえずギターかピアノでの弾き語りという形でいいです。

バンドならメンバー数に応じた楽器数にしておきます。何でもありにしてしまうとこれも収集が付かなくなるので、初めに決めたパート数だけでやりくりします。

曲の最後から最後までパート数が同じでもいいのですが、ドラマチックな展開にしたいなら途中で抜き差しする方が効果的です。

どんな音色が欲しいのか、どんなイメージが欲しいのかも作っていくうちにアイデアが浮かんでくるものです。慣れるまでは既存の曲のパターンをそのまま真似してしまいましょう。

・順序は自由

下準備として5項目に分けましたが、これらは順序を変えてもいいです。思い浮かんだアイデアを形にするのが目的なので、いきなり楽器の音色から決めてもいいですし、サビの拍数だけ浮かんだら留めておけばいいのです。

そういった一つ一つのパーツを組み立てていくのも作曲です。わざわざ型にはめなくても、全体像がすぐに浮かび形に出来るのが理想なのかもしれません。

※本来作曲とはメロディー作りという意味です。つまりこれらの項目は編曲が正しいですが、曲作りや音楽創作と言う広い意味で”作曲”という言葉を用いています。