”こだわり”がある事の苦しみと上手な付き合い方

2017-10-22

どんな人でも一つや二つ”こだわり”を持っていることでしょう。

こだわりとは良い意味で言えば信念のような物です。

人は多くの事を経験したり学んだりしていくうちに、自分自信の価値観が出来上がっていきます。

そのフィルターを通して物事を見た時に”善か悪か”という判断をし行動する事が、こだわりです。

悪い意味で言えば、”一切の妥協が許せない状態”もこだわりです。

他人に干渉しない趣味ならいくらでもこだわりは持って構いません。

しかし他人が関わる事柄や、特にビジネス面では物事が順調に進まなくなる理由になってしまうだけでなく、自分自身をも苦しめてしまいます。

こだわりイメージ画像

・音楽制作の例

ここでは一つの例として音楽制作の場面での”こだわり”がどう影響するか述べてみましょう。

曲の制作依頼を受けたという状況だとします。

依頼された楽曲は、

  • 女性アイドルユニットの楽曲
  • 曲の長さは4分半と決まっている
  • 生演奏の予定は無く打ち込み音源だけ作れば良い
  • ポップで明るい曲調

という注文です。

こだわりを”持たない”クリエイターなら、このまま淡々と注文通りに作業を進めますが、クリエイターと呼ばれるような人は必ずこだわりの一つや二つ持っているものです。

制作をする事になったクリエイターはこんなこだわりを持っています。

  1. ベースは生演奏のエレキベースが好きでどこかに必ずスラップを入れたい
  2. ポップな曲の時はアップテンポがいい
  3. 例え打ち込みでも”生楽器っぽさ”を再現するように打ち込みたい

というこだわりです。

これらは全て”善にも悪にもなる”こだわりです。

それぞれ簡単に説明していくと、

  1. 曲の迫力が増したりアクセントになったりするが、聴衆がそれを聴きたいかどうか
  2. 歌手のテンポ感が上手く噛み合えば良い曲になるが、他の曲と似たような雰囲気にならないかどうか
  3. 音の作り込みによって、”安っぽさ”が見えてしまわないようにするのは良いが逆に”ポップ”が表現できるのかどうか

という風に、良い点も悪い点も見えてきます。

全くこだわりを持っていなければ、打ち込み音も練りこまれずに、安っぽい印象のサウンドで仕上がってしまう危険性があります。

逆にこだわりが強すぎれば、求められる楽曲の雰囲気から外れてしまう可能性があります。

・クリエイターは1~2割のこだわりを出せるかどうか

もしも実績のある著名クリエイターなら、半分以上は自分好みの楽曲に仕上げたとしても喜ばれる事でしょう。

しかし多くは”求められる基準を満たした上で”更に良い物を要求され、そこにこだわりを入れられる部分は僅かです。

ここで”作りたい物と求められる物”のギャップを感じ苦しむ事になるのです。

私事ですが上の例に似たような状況は実際ありましたが、その時は依頼者側の意見を徹底した事を覚えています。

・多少の妥協は受け入れざるを得ない

世界は自分とは一切関係なく回っています。

そこに自分のこだわりを持ち出す事に”それほど大きな価値は無い”という状況も少なくありません。

その事実を知れば、多少は妥協できる余裕が出てきますので、一種の”割り切り”も出来るように慣れておく必要があります。

しかし”一切のこだわりが無い人”になってしまうと、生まれるはずだった”新たな価値”をも無くしかねません。

普段からこだわりは心の奥底で抱き、ふとしたタイミングで外に出してみるのがバランスよく生きるコツかもしれません。