急がば回れ、フレーズを習得する為の反復練習は制約を付ける

音楽演奏の練習は”マンネリ化”によって楽しくないばかりでなく、辛く苦しい時間に感じてしまう事も残念ながら少なくありません。

簡単に楽しめる趣味として楽器を始めた人は特に、”難しい”と感じた瞬間やる気が無くなり楽器に触れる機会も減っていきます。

そうした状況を少しでも減らすために日々”どうすれば楽しみ続けられるか”の考え方として”制約を付ける”という視点を持ってみると良いです。


・制約を付ける理由

制約を付けると、本来出来ていた事が簡単になったりも難しくなったりもします。

つまり、

  • 出来ない事を出来るようにする道順を作る
  • 出来ている事でも新たな試みで新鮮味を生みだす

という2つの効果があります。楽器演奏なら、

  • 弾けないフレーズでも弾けるイメージが湧くようになる
  • 弾けるフレーズを使って違うテクニックを身につける練習ができる

というメリットがあります。

・制約の種類

1.テンポチェンジ

最も基本的な制約は”強制的にテンポを設定する”という事です。

特に弾けないフレーズを最初から原曲テンポで弾くのは初心者にとっては難易度が高いものです。

”フレーズの長さは短く切るけれどテンポは遅く”すればどんなに複雑な動きでも整理出来ます。

指の開き具合が足りない、音の進み方や音程そのものが把握できていない、発音自体がまだぎこちない、などのように弾けない理由が見えてきますので、それを一つ一つ潰していくのが練習です。

逆に弾けるフレーズでも、テンポを”遅く”すればロングトーンの維持や綺麗な音色をしっかり出す練習になります。

テンポを”速く”すれば動作速度や正確性が求められるので、単純なテクニック向上として十分利用できます。

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2.発音方法の柔軟性を減らす

これはピアノやギターのように、”指”を使う楽器なら指使いを変えたり使う指の本数を減らします。

歌のように”声や息”を使う場合なら、なるべく口の形を動かさずに音程を変えてみたり、息継ぎの回数を減らしたりします。

ほとんどのフレーズでは”効率的な動き”、”楽な動き”を習得する事が最優先です。

しかしあえて”無駄な動き”や”弾きにくい動き”を体験してみれば、弾けないフレーズが出てきた時に”改善できるポイント”を見付けられるようになります。

またアドリブ演奏など、とっさにフレーズを弾こうとした時にも臨機応変に対応する技術が付いてきます。

ただし道具などを用いて強制的に体を固定したり、痛くなるほど無理に力を加えるような事は避けましょう。

たいした練習にならないどころか体の故障を招く危険があります。

3.音程やポジションの変更

これは楽器やフレーズによって実現可能な場合と不可能な場合がありますが、楽器の特徴を身に着けるのに役立つ方法です。

簡単なフレーズでもいいので、鳴らす音程を可能な限り低くしたり高くしたりしましょう。

同じフレーズでもオクターブやキーが変われば弾きやすくなったり弾きにくくなったりします。

また弦楽器では同じ音程でも違いポジションを用いれば弾き心地も音色も変わります。

”どんな音の高さでも同じフレーズを再現できる”ようになれば、アンサンブル時に急遽キーを変えたり出来るわけです。

多くの楽器は1オクターブ半以上の音階は出せるので、1オクターブ内のフレーズで練習すると良いでしょう。

・遠回りしているようで実は近道

弾きたいフレーズがはっきりしていれば、一つの弾き方をまずはしっかり覚えるべきですが、”弾けてしまえばそれで終わり”としないように工夫してみるのも音楽の楽しみ方です。

新しいフレーズを覚える時も、身に着けたテクニックが多ければ多い程、習得するのは各段と早くなります。

ちょっとしたゲームや遊び感覚でも結果的に上達の練習になるのが”小さな制約”だったりするのです。