楽器であれば手足の動きを制御しながら呼吸を大きく乱さずに弾き続ける体力も必要です。
普段からよく練習している人、練習では無くても無意識に音を出している人は自然と演奏に慣れていく部分もあります。
しかし肝心なところでミスをしてしまったりするならそれは練習不足と言って間違いありません。
演奏行為は緊張の連続なので精神的な面も大きく影響します。しかし確実なテクニックが体に刻まれていれば、よほどな事が無い限りは再現性を保ってくれます。
その為に意識するポイントを、少しだけ普段の練習に取り入れてみるのも上達の秘訣です。
・何はともあれ反復
どんな動作も無意識に体が動くまでに行き着かなければ、体得したとは言えません。もし奏でたい曲をある程度覚えたならば、後は反復あるのみです。
ただし完成度を上げる為には録音も欠かせません。高価な機材が無くてもスマホ等を用いれば手軽に録音できます。
もし録音した演奏が毎回ばらつきがあるならそれはまだ不安定な状態です。一番良いと思える演奏が出来るように、一つ一つの動作を確実に覚え込む必要があります。”短いフレーズを確実に弾く”だけでも意外と難しいものなのです。
・メトロノームは必須
良い演奏を行う為には感覚だけでテンポを取らない方が良いです。何故ならテンポはその時の気持ち次第で揺れるからです。機械のように一切乱れずにテンポをキープし続けられる人も居ますが、それは”反復練習”によって得られた技術です。
メトロノームを用いてテンポを一定で演奏し続ける練習を積んでいけば、大きく乱れる事は減っていくでしょう。もちろん録音も忘れず行っていればなお良いです。
メトロノームが無くても違和感が無いぐらいにテンポキープ出来るだけでとても上手に聴こえます。どんなに心地良い音を生み出していても、リズムが不安定だと頼りない演奏に聴こえてしまうのです。
・持久力を高める
レコーディングなどであれば録音の合間に休憩が挟めますし、曲の構成によっては短いパートだけを部分的に録音する事も可能です。
しかし人前で演奏する場合はそうはいきません。一曲を弾ききる為の持久力が必要となってきますし、すぐに次の曲に移る場面も多いでしょう。
持久力を高める為にもやはり反復が必要ですが、曲一曲を弾く回数というよりももっと退屈な反復が必要になります。
例えば1~2小節程の短いフレーズを1分間止まらずに繰り返すだとか、同音連打等の細かく素早い動きをどれだけ速く行い、しかも10~30秒程は持続させられるかといった練習です。
とても地味ですぐに疲れしかも飽きてしまう練習方法ですが、演奏の為の基礎体力を上げる為と思えば重要性もわかってくるでしょう。悪い事ばかりではなく、こういった練習方法には良い事もあります。
それは”特に考えなくていい”という点です。一度良い音の出し方さえ身につけてしまえば、後は習慣的に行えばいいだけです。毎日のトレーニングと言うとやる気が無くなりますが、歯磨きみたいなものと思えば気楽に行えます。
・音を生み出しているという感覚
音楽を奏でる行為は立派な表現であり創作でもあります。常に自分が出している”音”に対して興味を持ち、感動するぐらいのつもりで演奏していなければ”生きた音楽”になるのは難しいでしょう。
再現率を高め安定した演奏が出来るのも上達したと言えますが、やはりその時その時の想いを音として乗せていくという意識は忘れてはなりません。
体に刻まれていない動作はすぐには行えないので、臨機応変に様々な”音”を生み出せるようにするのも上達するという事です。