リズム追求、音楽とリズムの深い関係を知る

私たちが音楽を好んで聴く場合、感情の共有や集中力の向上、癒しの効果や退屈しのぎやインスピレーションの探求といった用い方が一般的です。音楽を創る側の人なら楽曲や音色の研究、新しい創作のヒントのために聴く事もあります。

しかし特に意識をしていなくても音楽によって心地よく感じたり居心地が悪くなったりするものです。その理由は主に”リズム”にあると言えましょう。

・遥か昔の人も音楽と関わっていた

現代は様々な技術が発展し、ありとあらゆる製品、電子機器が作られている時代です。音楽の発展してきたのは工業的な技術の進歩によるものが大きいですが、例えば近代文明とは離れた小さな民族なども独自の音楽を生み出し伝承しています。

歴史的な観点から見ても、自然発生的に地域別に音楽が生み出されていますがクラシックと呼ばれるジャンル、つまり西洋で発展してきた音楽以外の分野では”和声”にそこまで重点を置かれていなかったという見方が出来ます。

楽器の構造の複雑さや、楽譜という記録媒体の技術の差が西洋音楽の発展へと繋がっていき、”和声”の発展や体系化へと繋がっていったのです。

では他の地域ではどういう音楽が発展してきたのか。それはリズムに主体を置いた音楽なわけです。もちろん西洋音楽にもリズムの考え方はとても重要な要素なのは言うまでもありません。

古楽器画像

・リズムの秘密

リズムとは音楽の世界に限らず、ありとあらゆる場面に現れるものです。時間的な流れの中に周期性が生まれればそれがリズムです。

絵画や写真、映像の世界では配色や光の並びなどにもリズムを感じる事が出来ます。文章や言葉でも韻を踏むとそこにリズムが生まれています。

音楽が古代から受け継がれてきたのも、人が歩く動きだとか心臓の鼓動だとか話し言葉の間の取り方だとか、そういった事が日常の中に溢れており自然とリズムを感じながら楽しみを覚えるようになっていったからでしょう。

またリズムの中に入り込むと一種のトランス状態になる場合もあり、その感覚が人にとって程よい刺激を与えてくれるのです。

踊りも音楽とは深い関係にあります。宗教的な儀式から生まれた踊りもあれば、単純に楽しいからという理由で生まれた踊り(この場合ダンスと呼ぶ方がニュアンスは伝わりやすいでしょう)も盛んですが、ダンスの中にもリズムが存在しています。

そして同時に動きに合わせて鳴る”音”があります。足踏みや衣服の擦れる音、息遣いや装飾品の響きです。これらを一種の音楽と見なして芸術的に感じる人も少なくはないでしょう。

また踊りには”静と動”という時間的な変化だけではなく、空間そのものの”間”にも変化があります。これは音楽そのものの特徴と非常に近いと言って良いでしょう。

・心地よさは人それぞれ

音楽を心地よく感じたり不快に感じたりするのは、音色や和声、単純な音量によるものもありますが、リズムの観点から見ても影響があると考えられます。

例えば電車や車に乗っている時の振動が心地よくて眠気を誘う場合もあれば、地震や工事の影響から来る不規則な揺れが非常に不快に感じたりもします。こういった状況の経験によって、音楽を聴いている時のリズムパターンが似通っていれば無意識に連想される場面もあります。

また人それぞれが持つ時間感覚に上手くシンクロするようなリズムを持つ音楽を聴いた時、人は違和感なく自然に”ノれる”のです。”ノれない”音楽を聴いている時はとても退屈な時間が無限に続くような印象さえ受けてしまう可能性もあるのです。

・自分にとって気持ちいい曲

”ノリ”が自分にとって合っている曲を聴いてる時はとても気持ちいいものです。もちろんその時々によって気持ちいいリズムは変わってきますので、万能な曲はありません。しかし軽く手拍子や足踏みを行って自然に生まれたリズムと一致する曲を知っていれば、その時は気持ちよく聴けるはずです。

そこに自分好みの和声や音色が含まれた音楽ならなおさら最高の曲の仲間入りになる事でしょう。

今はネット上に配信されているソフトウェアでも曲のスピードを調整できるものがあります。極端に変更すると音がおかしくなってしまいますが、ほんの少しだけ早くしたり遅くしたりすれば見事にカッコよく聴こえる場合もあります。

曲のリズムを自分に無理矢理合わせて聴いてみるのも気持ちよく聴く方法の一つかもしれません。