リズム追求、呼び名と感覚(間隔)の捉え方

人がリズムを捉えるのはある種の周期性を感じた時です。

動物の足の動き、波や風の揺らぎ、一日の始まりと終わり、といった短い時間から長い時間まで様々です。

音楽においてのリズムも捉え方は多様にあり、そして言葉としての表現もいくつかあります。

定義は曖昧で使っている側も”感覚で”使っている言葉ですが、おおよその傾向を把握して音楽を聴いてみると納得がいく場面にも出会えるでしょう。

・リズム感

音楽を聴く人も奏でる人も、心地よく感じるリズムというものがあります。

具体的な秒数や強弱を認識しているわけでなくても、”リズム感がいい”という表現をよく用います。

語感からしても、”複雑に絡む要素を合わせた結果”を指している言葉として用いるとしっくりきます。

・テンポ感

音楽には明確にテンポ(BPM)というものが定められている曲もあれば、そうでない曲もあります。

1拍の間隔が短ければテンポが速い、長ければテンポが遅いという使い方をします。

なので狭い意味での”テンポ感がいい”というのは、速度がぶれずに拍が維持されている場合に用いられやすいです。

しかし広い意味では、”間延びしない感じ”を指しても使える言葉です。

音楽に限らず小説や劇、普段の会話等も似たような流れが続くと退屈に感じ、逆に切り替わりが激しすぎれば、せわしなくてついていけなくなります。

これらが自分にとって丁度いいバランスの時、”テンポ感がいい”という言い方が出来ます。

音楽の構成を考える時も”飽きさせないように変化を付ける”という工夫が必要なのです。

・グルーヴ感

これも主にリズムの感じ方を表した言葉です。明確な定義はありませんが、”揺らぎ”が心地よい時に聞く言葉です。

例えば単純に一つの音を8分音符で刻む時、正確に同じ長さを弾き続けるのではなく”かなり微妙な範囲”で長さの比率を変えて刻みます。

演奏者によっては”勝手に”そうなってしまう場合もあれば、”あえて”そうする場合もあります。

この比率の違いによって心地よく感じたり、ただ下手に聴こえてしまったりとするのです。

心地いい時は”グルーヴ感が出来ている”とか”グルーヴがある”など言います。善し悪しだけでは無いという意味も含まれているのかもしれません。

ブランコ画像

日常にもリズムが存在する

・タイム感

テンポ感と似たように直接時間の長さを捉えているような表現ですが、より長い間隔での時間を表している時に用いられる事が多いです。

テンポ感と言うと、1拍間隔や数秒間隔という語感ですが、タイム感は小節単位以上の長さをくくっての表現と言えます。

1拍1拍は多少ムラがあっても、曲を弾ききる長さは毎回ほぼ同じという人はタイム感がいい可能性が高いです。

またタイム感を思わせる演奏は”細かく聴けば荒い演奏”なのに、曲の節目の”帳尻がぴたりと合わさっている”ような印象を受けます。

・ノリ

この言葉も”リズム感”と似たように、全体の雰囲気から言われている言葉ですが、どちらかと言えば”グルーヴ”に近い表現です。

”ノリがいい”曲を聴いていると、自然と自分も体を動かしたくなる、という状態があり演奏者自身もリズムを特別作っているわけでなく自然にリズムが生まれている時に”ノっている”と言ったりします。

・パルス

この言葉だけは明確な定義を付けて良い言葉です。

決まった時間間隔で決まった強さの音(信号)が周期的に継続していればパルスです。

テンポ感との大きな違いは、”不自然なまでに均一”という点です。

音楽にとってのリズムとは、時間の長さだけではなく音の強弱や音色の違いも影響しているので、”何が心地いい要素なのか”を断定するのは難しいです。

しかし同じような音楽でも、簡単には聴き取れない程の違いがあるから面白いと言えますし、探求心が尽きないのです。