似たような言葉で”スケール”がありますが、同じ意味として使われる場面もあります。
しかし厳密にはモードの方がより音楽的で実用的な意味合いを持っています。
このページではスケールとモードの違いとコードとの関連性を述べていきます。
・スケールは音階の”キャラクター付け”のまとまり
ドレミファソレシド・・・と並べるとCメジャースケールという名付けがされています。
これは特に順番は関係なく、それぞれの音階(ド や レ など)が持つ性質や役割を固定しているだけです。
この時のドは最も安定した音、ミは明るい響きを持った音、などです。
コードのように同時に鳴らさなくても、音階にはそれぞれキャラクターがあるという事です。
・モードは音の”動き方”が持つ性質
レミファソラシドレ・・・と並べるとDドリアンスケールと呼ばれます。
音の組み合わせだけ見るとCメジャースケールと何も変わりません。
しかし レ の音(=D音)が中心となっているという考え方なので、スケール名を変えているのです。
それに伴って、他の音階の持つ性質や役割も変化しています。
このDドリアンスケールの音階をランダムに弾いても、モードとは呼べません。
モードというのは、”メロディーの流れ方によって感じられる雰囲気”の事だからです。
音の進み方によって、同じ音階を使っても違った響きに聴こえてしまうのです。
上の譜例はDドリアンモードのメロディー例です。
最初のアルペジオはただのDmコードしか連想させませんが、カッコでくくった部分を聴けば一気にドリアンの響きに支配されます。
同時にバッキングもDm7コードならより一層”モードらしさ”が演出されるわけです。
逆に言えば、ただの ド シ ラ というメロディーでも前後の関係で性格が変わってしまうという事です。
・モードとコードの関係
先の譜例ではDm7コードを連想させるメロディーです。
モードとは言い換えてみれば、”メロディーだけでコード感を生み出す状態”とも言えます。
しかしメロディーで連想されたコード以外も鳴らして構いません。
試しにGコードに先のメロディーを合わせてみると、Gコードの明るさよりもDドリアンのメロディーが持つ哀愁めいた雰囲気に包まれます。
全体のコードではG7やG9th、G6thといったテンションコードの響きが生まれているので、単純明快とは少し違った曲調になるわけです。
・アドリブ練習にも応用できる
スケールを覚えてランダムに弾くだけでも、何かしらの響きは生まれます。
しかしモード的に音の進み方を覚えれば、より一層”出したい音のイメージ”が作りやすいです。
習得したフレーズを違うコードに当てはめてみるのも、違う”モード感”を知るきっかけになります。
どれも似たような意味合いですが日本語に無理矢理当てはめてみると、
- スケール=(曲全体の)組成音
- モード=(メロディーが生み出す)雰囲気
- フレーズ=歌いまわし
- コード=(雰囲気を作る為の)和音
という言い方がしっくりくるのかもしれません。
しかし自分なりに捉え方さえ分けておければ、全く違う言葉を当てても良いのが音楽なのです。