楽譜を見て曲調を把握するポイント解説

楽譜を読み取れるメリットの一つは、”パッと見でおおよその曲調がわかる”事です。

曲調がわかれば使う音階やフレージング、コード進行のパターンが想像し易くなり、曲の習得スピードが上がりアドリブのイメージを作る助けにもなります。

主に楽譜のどの部分を見れば曲調がわかるかを解説します。

1.調号

調号とは五線譜上にある、♯(シャープ)や♭(フラット)記号です。(音符の横に付いている♯、♭は臨時記号と呼びます。)

元々付いていた調号を♮(ナチュラル)で打ち消して書き直す事もあります。

調号の例

この調号は決まった書き方になっており、自由な場所に♯や♭を配置できるわけではありません。調号を見れば、その曲のキーが判別出来ます。

例えば♯が二つならDメジャーまたはBマイナー、♭が三つならばE♭メジャーかCマイナーとなっています。

つまりメジャーとマイナーどちらかは調号だけでは判断出来ないとも言えますが、出てくる音階やコードの性質は見えてきます。

特殊なジャンルを除いて、付いている♯や♭の位置の音名を変化させる決まりとなっています。(♯が三つなら曲の中のファとドとソが半音上がる)

・調号の覚え方

調号は、♯や♭の数を見れば一目で何の音が変化しているかがわかり、同時に調性もわかります。

記号の数と調性の関係を覚えるには、

  1. 丸暗記する
  2. 右端の記号の位置との関係を覚える
  3. 数の増え方のルールを覚える

という方法がありますが、推奨するのは3つめの方法です。丸暗記よりも楽なのと、音楽的な知識と絡むので忘れにくいからです。

まず♯も♭も付いていない場合、キーはCメジャーかAマイナーです。ここは問題なく覚え易いでしょう。

♯の場合、数が一つ増える毎にキーは”完全五度の音名”で変わっていきます。一つならGメジャーかEマイナー、二つならDメジャーかBマイナーです。(ついでに調号の♯の付く順序もファから始めて完全五度の順です。)

調号覚え方の例

♭の場合は”完全四度の音名”で変わっていきます。一つならFメジャーかDマイナー、二つならB♭メジャーかGマイナーです。(こちらも調号の♭の付く順序はシから完全四度の順です。)

調号覚え方の例

完全五度と完全四度はどちらも完全協和音という特殊な響きを生む音なので覚え易いです。(多くの弦楽器も五度や四度の響きを使ってチューニングされています)

2.変化音とコード

調号でキーの予想はある程度付いたので次は変化音を見ます。変化音とは曲中に出てくる♯や♭や♮(ナチュラル)記号が付いている音です。

変化音の例

これらが一切出てこなければ、純粋にメジャースケールを用いた楽曲の可能性が高いです。(もしくはナチュラルマイナースケール)

もし変化音が一つだけ付いている場合はマイナー調の曲調になっている可能性が高いです。例えば調号が♭二つの時に、ファに♯が付いていればGマイナーキー(この場合ハーモニックマイナー)を連想できます。

ただしスケールとコードの関係性から、単純にメジャーやマイナーでないものも多いのが音楽です。

調号が♯四つならEメジャーキーですが、変化音としてレ♮とソ♮が頻繁に出てきた時、ブルーノートを連想させブルースやロックの曲調という判断が出来ます。

調号がCメジャーの時にシ♭が出てきたら、Fメジャーに一時転調する為なのか、Cミクソリディアンの響きを作る為の変化音かはコードも一緒に見て判断します。

つまり”曲のパターンを経験”して増やしていかないと想像しにくい響きになってしまうのです。

楽譜から曲調を読み解けるとは、どれだけパターンを知っているかという事です。変化音一つ一つの表す意味を理解していく必要があります。

3.スケールを見つける

上記の二つの項目で曲調は”パッと見”で予想できますが、その為には多くの経験が必要です。

しかしそこまで多くの事を覚えていなくても、実際にアドリブを考えたりアレンジしたりする目安は読み取れます。

使われている音階をそのままなぞってみれば何かしらのスケールになっており、曲の最初から最後まで出てくる音に変化がなければずっと同じスケールでも違和感なく演奏できます。

コード進行に合わせて出てくる音階も変化していれば、細かくスケールも変化していると判断すると良いでしょう。

最初はメジャーとマイナーとペンタを覚えておけば十分です。(メジャースケールを覚えればリディアンやドリアン等も使える事になります。)

色々なパターンを見ていくうちに、わざわざスケールを探さなくても何が上手くはまるのか想像できるようになってくるのです。

曲をコピーするのはテクニックの習得だけではなく、音楽の仕組みを覚えるのにも役立ちます。