エレキギターやエレキベースのようにライン入力で録音できる楽器なら自宅でも十分ですが、ボーカル録音やアコースティックな楽器では環境ノイズに悩まされてしまいます。
そこで利用するのが”セルフレコーディング”です。
レコーディングスタジオの利用を申請した場合、基本的にはアシスタントの人が機材を調整してくれたりするのですがその分料金も割り増しになります。
しかし小規模なレコーディングなら自分で機材を用意しレンタル中は自由に作業させて貰えるスタジオもあります。
安いところなら1時間あたり1000円以内、お得なコースなどでは600円程で利用させて貰えるところもあります。
その値段で”ノイズの少ないクリアな音”を収録できるのはとても魅力的です。
用意出来る機材に制限が無ければレコーディング専用の物を揃えればいいですが、「趣味程度の為にちょっと・・・」という人向けの機材やソフト、録音手順をこのページでご紹介致します。
・必要な機材、録音データ用
セルフレコーディングの場合スタジオの機材の一部を無料で使わせてくれる場合と、有料レンタルの場合があります。
DTMでの制作ではレコーディングしたデータを家に持って帰るのが目的なので、レコーダーは必須となります。
・原始的な方法はスマホやICレコーダー
スマートフォンの録音機能も使えなくは無いのですが、マイク接続の拡張性には欠けてしまいます。
なので仕事で使われる事も多いICレコーダーに後付けでマイクを接続してしまうという方法が1つです。
ただし細かなボリューム調整や録音データのタイミング合わせの点で難ありです。
・本格派ならMTR
MTRというのはマルチ・トラック・レコーダーの略です。
これは完全に音楽用の機材なので使用感や利便性はもちろん問題ありません。
ただし趣味で音楽制作する為だけに揃えるのに抵抗がある人はあえて選択しなくても大丈夫です。
・仕事にも使う普通のノートPC
上記の2つに比べて所有率が高く、なおかつ他の用途にも使える機材としてノートPCがあります。
DTMをスペックの高いノートPCを使っている人はそのまま使えますし、仕事で少し作業する為だけに使うようなPCでも録音程度なら可能です。
まとめると
- 携帯型のレコーダー
- MTR
- ノートPC
のいずれかとなります。
・必要な機材、マイクと接続用ケーブルなど
携帯型のレコーダーでマイク端子が付いている物はミニジャックという端子が付いています。
たいていのマイクは大きい端子(フォンやXLR)が基準となっているので、変換コネクタを使ってミニ端子に対応するようにしなければなりません。
MTRの場合はそのまま専用ケーブルを繋げられるので、スタジオのものをそのまま使わせて貰える可能性も高いです。
ノートPCはUSBから直接マイクに接続できる機材を経由すれば、すぐにマイクの音をPCに取り込めるようになります。
まとめると
- 携帯型のレコーダーなら対応する変換用端子
- MTRなら直接ケーブルで繋げられる
- ノートPCはUSBで認識できるデバイス
と選ぶ事になります。
・マイク本体
スタジオに置いてあるものをそのまま使わせてくれるのが普通ですが、拘りがある人は自分の持っているマイクを使いましょう。
・ポップガード
歌を収録する時はマイクに吹かれ防止用のキャップが付いていたとしても、直接息が当たるのは避けたいのでポップガードも併用した方がクリアな音質になりやすいです。
安価な物でも十分に効果が出るので持っておいて損は無いでしょう。
・音に拘りたい人はプリアンプも用意
マイクを直接機材に接続した場合、「思ったよりも音量が稼げない」「音質調整がやりにくい」と感じる場合はマイクプリアンプも用意すると良いでしょう。
MTRやPCソフトだけでもある程度の音量・音質調整は可能なので、よっぽど音に拘りがある時だけで十分です。
・必要な機材、イヤホンorヘッドホン
録音時には基本的にバッキング音源(カラオケ)を聴きながら収録する事になりますが、音漏れの激しいヘッドホンなどではマイクに音が入り込んでしまう場合があります。
なのでなるべく音漏れの少ないイヤホンやヘッドホンを使う方が良いですが、演奏しにくい・歌いにくい物を使うぐらいなら普段から使い慣れている物を使いましょう。
・ノートPC編、あると便利なソフト
ノートPCの場合は録音機能のついたソフトが必要になってきます。
お勧めなのはAudacityというソフト。
無料でインストール出来る割に、簡易的ですがトラック別収録が可能になっていたりエフェクトもそれなりに揃っているので便利です。
このAudacityに予めバッキング音源を取り込んでおけば、MTRと同じようにバッキングを聴きながらレコーディングすればそのタイミングで録音されます。
・録音の手順
マイク録音ではマイキング(マイクの位置や種類を緻密に合わせる事)が行われますが、拘り出したら半日程かかる事もある作業なので大雑把に音を拾える場所にマイクを立てましょう。
マイクを立てたら実際に収録する音がどれくらいの音量で録音できるか試します。
歌やフレーズの一部を録音して、大きい音と小さい音の差を見て”音割れしないギリギリの大きさ”になるように入力音量を決定します。
この作業は少々面倒ですが、音割れしてしまうのは絶対に避けたいのでしっかりと行っておきましょう。
後は演奏を録音するだけです。
・気をつける点
録音時に特に気をつけたい部分は、”如何にノイズを入れないか”という点です。
気持ちが高ぶった方が演奏や歌にメリハリが出て”良い音楽”になる傾向がありますが、絶対に”マイクやケーブル、スタンドには触れない”ように注意しましょう。
スタンドの置いてある床や机もどうように振動を与えてはいけません。
収録された音を後で聴いてみると足踏みが振動として伝わってしまっていたなんて事もあります。
他にも電源ノイズや電波ノイズなどもありますが、携帯の電源を切っておくという事以外はそこまで対策しようもないので気にしすぎないようにしましょう。
元々ノートPCを持っていたらスタジオ代と機材代を合わせても5000円以内に抑えられるので、レコーディングもよい身近な物になった時代と言えます。