このページではシャッフルとスイングについての考え方や感じ方を述べていきます。
両方とも日本語では”ハネ”や”跳ねる”などと表現したりしますが、とても曖昧なものです。
・演奏面での表現方法
ハネのリズムを表現する時、楽譜上では簡単な表記があります。
この記号を言葉に表せば”8分音符2つを組み合わせている部分は3連4分と3連8分の組み合わせで演奏”という意味です。
言い換えれば”4分音符を均等に8分ずつ分けずに、2対1の比率で分ける”と言えます。
つまり3連符を刻んで機械的に1つ目と3つ目を鳴らせばハネます。しかし同じ表記でもジャンルによって全く聴こえ方が違うのが実際の音楽です。
・シャッフルのジャンルや感覚
シャッフルと言うとブルース、特に欧米文化で育ったブルースやカントリー、ロカビリーの雰囲気が連想されます。
より”シャッフルを感じる”為には4つ程意識して強調すると良いです。
- スタッカート気味な音:全ての音を歯切れ良い音では無く、先の音だけ、または後の音だけ歯切れ良ければ、”くだけた感じ”や”だらけた感じ”に聴こえます。
- 先の音にアクセント:これは演奏者の癖や曲にもよりますが、どちらかと言うとアクセントは表リズム、つまり先の音に持ってくれば”ノリやすい音”になります。
- 比率が多い休符:一瞬息を止めるように、間に休符を挟むよりハネた感がはっきりします。無音の時間が短くなった分”だらけた感”が強くなってきます。
- 後の音が16分寄りの3連:休符の比率を伸ばしすぎると3連では無く、付点8分と16分の分割に聴こえます。この手前まで音が寄っていると歯切れ良さが目立ちます。
これらの要素を組み合わせてみると、カラっとした明るさとダラっとした重さがイメージでき、体の動きで例えるなら”縦ノリ”という言葉が似合うリズムとなっています。
・スイングのジャンルと感覚
シャッフルがブルース寄りな音ならスイングはジャズ寄りな音です。しかしジャズも元々はブルースから派生したジャンルなので、起源も同じという事になります。
これらは黒人音楽に根付いた物で、暗い歴史の憂いや嘆きを歌った物と言われています。
ジャズはより自由な音楽性や演奏性を展開していった音楽とも言えます。
スイングはシャッフルよりも曖昧度が強いですが、次のポイントを押さえればイメージがつくでしょう。
- 3連よりも8分寄り:シャッフルとほぼ等しい比率で拍を分ける場合もありますが、より後の音を長めに伸ばすと前のめりな感覚になります。2対1というよりは、6対4だとか7対4だとかです。
- 表よりも裏:これはアクセントの位置です。普通の8分音符でさえも、裏拍にアクセントを置けば独特な”ノリ”が生まれます。少し腰が浮いたような印象です。
- 休符というより息継ぎ:歯切れ良さを付けるよりも、歯切れの悪さを出す方がよりスイングらしいです。休符は無いに等しいか、あったとしても短めに切れば雰囲気が作られます。
- 音の消え方:休符を挟む時にパっと音を消さずに、フェードアウト気味(瞬間的だけれど段々消えていく)な音なら曖昧さが残ります。
以上の要素を組み合わせてみると、軽快さとモタつき感という相反した感覚が付きまとい、体の動きなら”横ノリ”と呼べるリズムとなっています。
シャッフルもスイングも全く同じ”ハネ”として扱っても決して間違いではありませんが、少しでも違う部分があればカテゴライズしたいのが人間なのかもしれません。
特にそれが”好みな音”の場合は余計にどういった分野か確かめてみたくなるものです。そこからまた新しい音楽へと広がっても行くのです。